神戸物産、外食事業でもローコスト運営を志向! 「神戸クック・ワールドビュッフェ」の新戦略
コロナ禍でローコストオペレーションを再構築
こうしたローコストオペレーションをさらに深化させるきっかけとなったのがコロナ禍だ。外食需要の急減や食材を取る際のトング使用への抵抗感などにより、ビュッフェ業態はとくに大きな打撃を受けた。「一時は営業継続すら危ぶまれる状況にまで追い込まれた」と神戸物産外食事業推進本部神戸クック事業部部長の北浦紀明氏は当時を振り返る。

未曾有の危機に直面するなか、同社は営業モデルの抜本的な見直しに踏み切る。その試金石となったのが、21年7月に自社直営化した「神戸クック・ワールドビュッフェ ハーバーランド店」(兵庫県神戸市:以下、ハーバーランド店)である。FC加盟店の撤退に伴い本部が運営を引き継いだ直営店で、本部社員が店舗オペレーションの徹底検証と改善に着手。高回転・高収益・高満足度を実現する新たな店舗モデルの構築へと動き出した。
改革の核となったのは、「手間をかけること=価値」という従来の常識からの脱却である。北浦氏は「手をかけすぎないことが、かえって品質の安定と効率化につながる」とし、調理機器の積極活用による生産性向上を図った。
なかでも象徴的な取り組みが、スープジャーを使った「保温調理」だ。90度以上の高温でスープや煮込み料理を加熱・保温することで、手間をかけずに効率的な調理を実現するとともに、作業時間の短縮と省人化を両立させた。この調理方法は衛生面の改善にも寄与する。高温調理によって雑菌の繁殖を抑え、調理工程に人の手が入る機会を極力減らす設計とすることで、手指や調理器具を介して別の食品が細菌で汚染される「交差汚染」のリスクも最小限に抑えた。
また、営業時間の短縮やピークタイムへの人員集中など運営面の見直しを何度も行っており、少ないリソースでも安定的に店舗運営ができる体制の構築に取り組んできた。
オペレーションの見直しと並行して、メニュー開発でも改革を進めた。メーンターゲットである30〜40代の女性・子育て世帯を意識し、スイーツやパン、ドリンクメニューを強化。定番メニューのクオリティー、およびラインアップを磨きつつ、SNSブームを経てトレンド料理となった「ロゼクリームパスタ」「マリトッツォ」なども開発しフェアメニューの中心として提供するなど、幅広い層に受け入れられやすい商品展開で集客率の底上げを図った。

こうした取り組みが奏功し、ハーバーランド店は23年、過去最高となる売上を記録した。収益性と運営効率の両面で高い成果をあげたこの店舗モデルは、現在、FC加盟店への水平展開が進められている。






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