チェーンストアが「お値打ち価格」と「安定供給」を両立する方法とは
チェーンストアは供給責任を放棄したのか

円安もインフレも収まらない中、米不足も加わって食品の値上がりが生計を圧迫しているが、チェーンストアは売価に転嫁するばかりで、「国民の生活を支える社会インフラ」という役割を放棄した感がある。
転嫁しなければ従業員の給与を上げられないし、納入業社の価格転嫁要求に応えないと「優越的地位の濫用」だと公取委に摘発されかねないご時世だから致し方ないのかも知れないが、消費者にすれば「レジ袋騒動」以来、チェーンストアに対する不信感が根強く、度重なる値上げに愛想が尽きて生活防衛姿勢を強め、少しでも安い店を探して食料品が「買い回り品」になっている。
そんなことを言えばアパレルなんて「定価」があってなきが如くで、売れ残りに苦しむ事業者がある反面、「神話作って騙した奴が勝ち」という風潮さえあるから、便乗値上げでぼったくっている事業者も多々見られる。インフレ下でそんな風潮が極まるほど「買い回り」が面倒になり、圧倒的「お値打ち」を確立した「ユニクロ」「ジーユー」への一極集中が進んで、生活衣料(「ライフウエア」)は食料品とは逆に「最寄り品」になっていく。
チェーンストアは多数の店舗を展開して売上規模は大きくても、ごく一部を除き、市場(いちば)流通やサプライヤーに依存するだけで、インフレや品不足に立ち向かって顧客に応える独自のサプライチェーンを確立できているわけではない。日本の国力が衰退して円の力も生産力も落ちていく中、インフレは止まらないし供給もますます不安定化していくから、「お値打ち価格」と「安定供給」を担保するには衣料品も食品も「ユニクロ」的に独自のサプライチェーンを確立してSPA(製造小売業)化せざるを得ないのではないか。
以下、「定価」と「原価」の関係を掘り下げながら商品開発とサプライチェーンの課題を探っていこう。
「一物多価」のアパレル商品

アパレルが一物多価であって「定価」などあってなきが如しというのは業界人のみならず一般消費者も広く認識して使い分けている。
「定価」で売られている段階でもECならクーポンで安く買えることがあるし、百貨店や商業施設のカード会員ならランクによって常時、5〜10%オフ、あるいはキャンペーン期間中に10%オフで購入できる。売れ行きが鈍い商品は期中でもキックオフ(期間限定値引き)や売価変更で安く買えるし、シーズン末に残っていれば大幅値引きのセール価格で購入できる。セールでも売れ残って持ち越された商品はアウトレットでさらに値引きされるが、今時は素材や縫製品質を落とした「アウトレット専用企画品」が過半を占めるブランドもあるから、タグを確認して見分ける必要がある。
もっとエグいのが、
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