低価格化一辺倒の靴下市場に歯止めをかける! タビオのユニークな経営戦略

2024/04/30 05:59
編集プロダクション雨輝
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各店を標準化せず個性を出すユニークな経営戦略とは

Tabo MEN
Tabo MEN

 店舗フォーマットの考え方について、越智氏は「採算性が合うかどうかだけ」と話す。靴下は広いファッションジャンルに対応することが求められる。そのため、タビオでも、一般的なアパレルブランドのように「エレガンス系」や「ストリート系」といったジャンル別のフォーマットにはなっていない。

 それよりもタビオが重視しているのは、出店場所との「親和性」だ。ファミリー層が多いGMS(総合スーパー)であれば、「高級感」が出過ぎないように柔らかい雰囲気にまとめ、「ららぽーと」のような広域のショッピングモールに出店する場合はメンズラインの商材も厚めに揃える。発見を求めるお客が多い「ルミネ」のような駅近の商業施設内のショップは“尖った”雰囲気を演出するなど、立地や客層、環境に合わせた店づくりを展開しているという。

 過去、タビオでは店舗を標準化しようとした時期があったものの、売上が低迷。「365日、52MDが流行った時期に(標準化を)試したが、面白くない店ができるだけだった。宣伝費がかかり、10 年程度しか保たない(店になった)と感じた」と越智氏は話す。その教訓を生かし、以降は、売場の環境を一番肌で感じている店長に仕入れや売場づくりを一任。前会長の越智直正氏の遺志を引き継ぎ、「クリアできなかったときにネガティブな感情を伴う」という理由から売上目標やノルマも設定していない。

 タビオが数値目標で唯一掲げるのは「メンズブランドの50億円」の達成だ。2010年代に5億円程度だった売上高を2025年までに50億円まで引き上げるという目標だが、これはあくまで、メンズラインの製造を依頼している工場をタビオだけで支えられる生産量から算出したもの。すでに40億円が射程圏内に入っていると越智氏は話す。

 店舗づくりのスタイルは海外においても同様だ。日本の約2倍の価格で商材を販売している中国では、ジュエリーショップやコスメショップのような高級感を演出。フランスやイギリスでは、世界でも類を見ない「靴下専門店」というエッジのある特徴を前面に打ち出すため、商品の点数を絞り込み、展示会のような売場としている。

 「パリの店舗が尖っているのは、パリがそのような街だから。おかげさまで、パリコレで当社の商品が使われたり、有名ブランドからのオファーもいただいている。映画の衣装として声がかかることもある」(越智氏)

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