13期連続増収中!菓子のSPA、シャトレーゼの勝ち続ける戦略とは
強固な顧客基盤、920万人のファンが支える
「安いのにおいしい」という理由から、一度利用するとファンになる人が多いのだというシャトレーゼ。その味へのこだわりを象徴しているのが「ファームファクトリー」という考えだ。菓子に必要な素材を農場・農園から直接仕入れて工場に送り、できる限りの新鮮さでお菓子にするというシステムである。
シャトレーゼには特有の制度「カシポ会員」がある。入会費・年会費無料でシャトレーゼとYATSUDOKI店舗で使えるポイントプログラムである。100円購入ごとに1ポイント貯まり、1ポイント1円から値引きで利用できる。カシポ会員は5年前560万人だったが、現在、920万人まで増加しているというから驚きだ。
シャトレーゼの売上推移をみると、20年3月期が618億円(540店)だったが、23年3月期には1175億円と約2.1倍にまで急成長している。
シャトレーゼの国内、海外の出店状況だが、国内のシャトレーゼ店舗は、現在、約800店(うち直営は60店舗)である。海外はアジア9か国/地域(約190店)を中心に積極的に出店を展開している。
シャトレーゼの古屋勇治社長は「国内、海外とも積極的なFCチェーン展開を行っています。特に、東南アジア(8か国)は若い人の人口構成が増えていますので、より積極的に展開をしていきます。各国から問い合わせが増えているので、『三喜経営』を理解した企業と一緒に取り組んでいます」という。
ここまでシャトレーゼが成長カーブを描いている理由をいくつか指摘してきたが、顧客支持の地道な獲得の背景にある「おいしくて安い」商品の開発における、「お客さま第一」を具現化した事例を紹介したい。
それが、和菓子の草餅のヨモギ摘みを社員で実行しているという点だ。問屋からヨモギを購入すれば済むことだが、社員が工場近くの自然のヨモギを摘んだものを一次加工して保存している。
「おかげさまで順調に経営を続けていますが、メーカーですから“売る立場”ではなく、“買う立場”を忘れないで仕事をしていきたい。また、今後、『価格と価値』を見極めながら、いっそうシャトレーゼ独自の戦略を打ち出していきたい。たとえば、おやつから手土産、贈り物を強化させたいと考えています。日本にはいたるところに素材が眠っています。地域、地域の素材を使って商品企画開発を強化させる努力を続けます」(古屋勇治社長)
原点を忘れず、「お客様第一の目線からの商品開発」「おいしくて安い」「宣伝費をかけず、価格を安定させる」など、齋藤寛会長の経営哲学で成長するシャトレーゼの今後の展開を期待したい。