13期連続増収中!菓子のSPA、シャトレーゼの勝ち続ける戦略とは
躍進の大きな要因はフランチャイズ
シャトレーゼが飛躍したもう一つの理由がフランチャイズ・チェーン(FC)方式を採用して、工場直売の店舗展開を進めたことである。シャトレーゼのFCの推進のベースになっているのが経営理念であり、社是だ。1967年に社名をシャトレーゼに変更した際、社是を「三喜経営」と改め、徹底した経営を行った。
三喜経営とは「お客様に喜ばれる経営」「お取引先様に喜ばれる経営」「社員に喜ばれる経営」の3つがあってこそ経営が成り立つという考え方だ。このうちFCと関連するのが2番目。生産者やFCオーナー、デベロッパーが儲かる仕組みを考えることである。FCオーナーは、いわば、「のれん分け」をしたパートナーと位置付け、一緒に成長していきたいと考えているという。
ややもすると、社是や経営理念は形骸化しがちだが、シャトレーゼは「判断するときの物差し」として徹底している点も強みだ。
さてFC店舗の現場はどうなっているのか。2022年7月に開業し、FCで客数ナンバーワンの「中野ブロードウェイ店」に足を運んだ。FCオーナーは実は銀座ルノアールである。吉田緋莉店長は「店長就任時に立てた目標の2倍の客数を維持しています。20坪の中規模店で、商品をどこに置くか、毎日の売れ筋をみながら研究しています。開業時含め、販促としての宣伝はしておらず、一度店に寄ったお客さまにまた来店していただいています」という。
2022年3月にオープンした「YATSUDOKI汐留日テレプラザ」。シャトレーゼとYATSUDOKIの2つの店長経験のある遠藤浩子店長は「標準店舗と異なり、1階が7坪の店で2階のカフェ(11席)という構成。周りはオフィス街でホテル、劇団四季など立地条件が他と異なることもあり、オープン当初は苦戦しました。そこで、他店ではやっていない、オフィス街やホテルで働く人たちを相手にギフトや贈答品を薦める作戦を立てたことで売上が上向き始めました。またカフェ需要では、10時からの朝食モーニング時、海外客の来店が増えています。シャトレーゼの季節の原材料(果物など)などを活かした高級感のある商品をお客様に提案し、工房を生かしたこの店特有の商品づくりに力を入れたい」と語る。