「チョコザップ」開始1年余りで業界首位へ RIZAP取締役が明かす、驚きの成功を遂げた要因
データ分析の専門チームが退会率の改善に寄与
フィットネスジム業態において、競合との差別化になるのが「退会率」だ。退会率を改善すべく、チョコザップでは1週間以上来店のない会員に向けてアプリ上で来店を促す通知を配信している。
チョコザップの専用アプリは、来店のない会員の性別、年齢、運動履歴などの個別データを分析し、効果的な通知画面を配信する。以下の画像が、パーソナライズされた通知の例だ。
こうした取り組みにより、チョコザップの退会率は大きく改善しており、22年7月時点の退会率を1.00とすると、23年6月時点の退会率は0.63となっている。退会率は非公表だが、一般的なジムの平均値と比べると大幅に低い。なお、来店頻度が週1回以上の利用者の割合は、業界平均で全体の4~5割程度だが、チョコザップ では8割超を達成している。
このデータ分析を担うのは、RIZAP グループが22年6月に立ちあげたRIZAP テクノロジーズ(東京都/鈴木隆之社長)だ。同社はほかにも、防犯用AIカメラのデータからマシンが使われている頻度などチョコザップの利用実態も解析している。データ分析により、会員が何を求めているかを理解し、利用率の低いトレーニングマシンを廃止したり、人気のあるマシンを積極的に導入しているという。
鎌谷氏は「サービス開始当初と現在では、店舗内にあるトレーニングマシンの構成は大きく異なる。RIZAP テクノロジーズの分析結果を中心にマシンの構成を最適化しているため、チャレンジで新たなマシンを採用した場合でもお客さまの利用率が低ければすぐに入れ替える」と話す。
RIZAPグループは、RIZAP テクノロジーズの技術を生かしたチョコザップを事業の柱の1つに据えており、26年3月期までに全国で2000店舗の出店を計画している。今後は、アプリ上でRIZAPのトレーナーによるトレーニングプログラムや、適切な食事を提案する機能の追加を検討しているそうだ。
「パーソナライズの精度を高め、蓄積したデータから会員の行動改善にどうつなげるかを考えたい。長期的な視点では、当社がフィットネスジム市場の規模拡大をけん引し、日本人の健康寿命の延伸に貢献したいと考えている」と鎌谷氏は語る。