沖縄の名物スーパー「ジミー」、アメリカ×地産地消の独自戦略とは
激変する周囲の環境 新たに獲得したい客層とは
創業時と比較して、「ジミー」を取り巻く環境も大いに変わった。創業者の盛保氏の時代はモノがない時代だった。今は沖縄も豊かになり、「ジミー」のケーキは沖縄の各家庭の食卓で、誕生日や卒業祝いなど、お祝い事がある度に家族で食べる定番メニューとなった。
沖縄が豊かになり、世界的な観光地となっていく中で、来年8月に沖縄県南城市で開店が予定されている「コストコ」に象徴されるようにグローバル企業の沖縄進出も増えている。また、本土から進出する店の中には「ジミー」と類似したケーキやクッキーを出す店もある。
「企業は、時代対応業である。生き残るためには改善を積み重ねていかなければならない」と話す稲嶺社長は伝統の味へのこだわりを保ちながらも時代への適応の必要性をひしひしと感じている。
企業の未来像について、息子で、創業者の孫にあたる取締役の稲嶺盛哉氏(27歳)は現在の客層の中心が50代から60代と高くなっていることを指摘した上で「100年企業を目指す中で新規のお客さんの獲得を目指さなくてくはらならない」と話した。
ターゲットにしたいのは30代の子育て世代の女性だ。「那覇店」にはグロサリー、デリカテッセン、ベーカリー、レストランが集約されているが、一般的な総合スーパー(GMS)と比較するとその規模は小さく、その分買い物がしやすい。高齢者の方はもちろんのこと、時間に追われる子育て世代の母親たちには小さな店の方が使い勝手が良い面もあるだろうとみている。
稲嶺取締役は「レストランでのお食事の後はグロサリーで子供向けの商品も購入して頂き、ワンストップでお食事もお買い物もできる利便性を感じてもらいたい」と語る。
ジミーの大型店舗となるスーパーマーケット機能とレストランを兼ねた那覇店と大山店を訪れたが、地元客の他に、中国、台湾、韓国からの観光客も訪れていた。「ジミー」の味は、本土に加え海外からも注目を集め始めている。