個店経営はリアル店舗だけじゃない? ネット販売と個店経営の関係性とは

島田 陽介(島田研究室代表)
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無店舗と有店舗ネット販売の違い

 コロナ禍をキッカケにインターネット販売の利用が急拡大した。ネット販売と「個店経営」に関わりはあるのか。それを考えるには、2つの区分が必要である。

 その1つが、たとえば「アマゾン」のような店舗を持たないネット販売である。無店舗ネット販売はそもそも店舗がないのだから、個店経営は不可能であり、不要である。また、ネット販売は、お客個人ごとの購買行動のヒストリーを知ることができるため、「推薦」がしやすくなるはずである。

ネットスーパーのイメージ
ネット販売と「個店経営」に関わりはあるのか。それを考えるには、2つの区分が必要である。(i-stock/milindri)

 もう1つが、たとえば食品スーパー(SM)やコンビニエンスストア(CVS)、あるいは「イオン」「イトーヨーカドー」などが行っている、店舗すなわち「商圏」を伴うネット販売である。この場合、個店経営が可能であり、また、必要となる。ネット販売は個人を特定できるため、個店マネジメント以上に精度の高い、個人の購買データと過去の購買履歴を知ることができる。カスタマーカードを発行していれば、企業全体および店舗ごとの、店舗とネット販売におけるお客ほぼ全員の個人購買データが入手できるため、AIによる分析が効果的となる。

 ただし、無店舗にせよ有店舗にせよ、ネット販売の多くは今のところ、店舗での買物行動の代替行為である。店舗の場合、来店客の期待に応えることは、必要条件であって十分条件ではない。

 来店客に予想外の「発見」をしてもらうことで、買物を必要の充足、すなわち「用事である買物」から、「充実あるいは楽しみのある買物」に変え、来店してもらう「カスタマー」にする。それこそが、多くの流通チェーンの最重要任務である。

 それは「人数」を限定された商圏の住民をまた来店するカスタマーという「回数」に変え、それらを増やしていくための必須条件となる。絶えず新品種を開拓し、アソートメントを変え、商品のバージョン・アップあるいはチェンジを繰り返して、人口の限定された商圏で客数と売上を伸ばし続けているセブン-イレブン・ジャパン(東京都)はその好例である。

 個店経営では、わが店のお客の買物行動を観察し、お客の「発見と充実」に結びつく、新しい品揃え、品種品目、サービスを提案するきっかけや根拠を個店のデータから見いだす。ネット販売もまた、注文したお客を「カスタマー」に変えなければならないという点では、店舗と同じである。

店舗を持たないネット販売の特徴とは

 店舗不要のネット販売、

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