わずか80坪!バーニーズ ニューヨークの小型店が、反転攻勢の狼煙である理由
小型店なら出店のチャンスが拡大
本国のバーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)は1923年、ニューヨークで創業した米国を代表するファッション高級専門店(スペシャリティストア)として、日本でも広く知られている。しかし、2019年に経営破たんし、ブランド管理を手がけるオーセンティック・ブランズ・グループ(ABG)が事業を承継した。再建策の一環として、小回りが利き、機動的に出店できるインショップのフォーマットで、「サックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)」の店内にも、売場を積極的に増やしているという。
バーニーズ ジャパンは、もともと伊勢丹と米国バーニーズ ニューヨークの提携によって設立され、2013年からセブン&アイグループ入りしている。同社も、2019年の消費税率10%引き上げ以降、高級ファッション市場が逆風を受ける中で苦戦を強いられていた。そこに、コロナ禍が追い打ちをかけたかたちとなっている。
谷口氏は、「都心部で大型店を出店するのはいっそう難しく、リスクも大きくなっています。一方で、コロナ禍によって、都心部ではファッション専門店などのクローズも相次いでいるので、新たなスペースも生まれている。実は、小型店は、出店のチャンスも拡大しているのです」と話す。
そんな中、グループのそごう・西武から西武渋谷店への出店の打診があった。コロナ禍で、百貨店としても、集客力の高いテナントをできるだけ誘致したい。そこで、米国バーニーズ ニューヨークにも相談したうえで、上記の経緯から新業態のチャレンジに打って出たわけだ。
場所は、入り口近くの「百貨店の顔」とも言える、もともとスーパーブランドが入居していたスペース。「例えば、B館1階の外壁は、3つの大きなショーウィンドウのうちの一つを、独立した壁面を立てた仕様に変更させていただきました。ウィンドウはバーニーズ ニューヨークの象徴という考え方ですので」(同)。
百貨店とのシナジーも狙いの一つ。とりわけ、バーニーズ ニューヨークとしては、メーンターゲットである富裕層にリーチしやすくなった。
「渋谷エリアに進出するのは初めてで、新規のお客さまも獲得できています。既存の客層は40~50代が中心ですが、西武渋谷店は30代のお客さまも多いですね。渋谷エリアの富裕層に強く、外商部門などからお得意さまを紹介していただけるのにも助かっています」(同)。