大根から自動車まで売る「カリスマ販売員」に聞いた、コロナ時代「販売」の極意

2021/10/14 05:59
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    “大根から自動車まで”なんでも販売するプロがいる。【売れる売れる研究所】の橋本和恵代表取締役だ。橋本さんは約20年、1000か所以上の現場で、あらゆる商品を売りまくってきた。陶芸の専門学校に在学中、「勘違いから始まったアルバイト」をきっかけに販売の道に進んだ彼女は、現在、大企業の店舗での接客から販売員向けの講師としての活動まで、各所から引っ張りだこだ。コロナ禍で苦境に陥るリアル店舗で、販売員は何を心がけ、危機を乗り越えればいいのか。橋本さんの「販売術」を聞いた。(文中敬称略)

    橋本和恵さん

    二人の営業マンにえびせんべいを21万円販売した極意

    橋本は、老舗百貨店で40年のキャリアを有する販売員の方から、『お客様がマスクをされているから、表情を読み取ることができない』という相談を受けることがあった。「大ベテランで、商品に対する知識や販売経験は豊富ですが、マスク接客には困っておられました」売り場に立つ販売員にとって、顧客の表情を読み取ることは最重要課題、と言っていい。だが、マスク着用によって、口元の表情を見ることができず、販売員が顧客の反応を観察し辛くなっているのだ。

     そんな中、橋本はデパ地下の売場に立ち、二人の営業マンに一箱約3000円のえびせんべいをなんと、70箱も販売した。当然、橋本も営業マンも、マスクを着けている。

     橋本は、営業マンのある「身体のパーツ」に注目していた。 

    「お客さんの心の声は、実は『額』『手の動き』に表れます。販売員の話を聞いて不快だな、理解ができなかったな、と思ったとき、眉毛が八の字になったり、眉間にシワが寄ったりします。また、お客様が購入するかどうか、考えているときは手を前や後ろに組みます。手を組んでいる時は、販売員は、お客様から質問があった時いつでも答えられる距離をキープしながら、黙っていることも必要です」

    実際に、営業マンへの接客を行った時、橋本は約2分半もの間、沈黙し、様子をうかがっていたという。また、眉毛や、眉間に反応があった場合、一旦説明を止め、分からない点があったかどうか聞き直すことも有効だ。客は、自分が理解できない商品を買うことはないからだ。

    「売れる販売員は、説明のワンセンテンスが短く、一言投げかけて、表情や手の動きを見る、そのプロセスを繰り返しています。逆に、売れない販売員は一方通行に説明してしまいがち。お客様を観察できてこそ、一流の販売員だと言えます」橋本は、店舗に買い物に来る客は商品に興味を持っているが、どんなモノが欲しいのか、具体的に言葉にすることができていないと分析する。販売員の仕事は顧客の表情や会話を観察し、顧客の「欲しい」を言葉にすることだという。

    前述の、橋本の研修を受けたベテラン販売員は「お客様の額を良く観察して、お客様の気持ち、声を察する重要性に気付かされた」とコメントを寄せていた。コロナ禍で、マスク接客などさまざまな制約が課せられているが、販売員の仕事の『根本』は変わらないのかもしれない。

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