ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営28 ECサイトの次に勝つのは「訪問販売」である理由
ECの本質は、自宅で買える訪問販売
「ECサイトを訪れる」という表現がある。しかし、ここに大きな誤謬がある。この理解は全く逆であり正しくは「店舗が掌(てのひら)の中にあり、店舗が手の中にやってきた」のである。
仮にECを利用している場所が自宅であれば「自宅にECという訪問販売屋がやってきた」のだ。
富山の薬売り、百科事典を売りに来る販売員、百貨店の外商、すべて人と言う媒介者を通して自宅を訪れ、物を流通させていたことが、今は単にECという媒介者が家を訪れ、気になるもの欲しいものを言い当て、それを提案しているのである。
この訪問販売は古くからある手法であり、それを人ではなく、紙媒体に載せたのがカタログ販売であり、電波に乗せたのがジャパネットたかたであり、Webに乗せたのがAmazonであり楽天であり、その他多くのECサイトである。
そして、近年、国境を越えて個人の自宅まで入り込んでいるのがライブコマースである。テレビ媒体ではキー局地方局などの制約があり放映される範囲は限られる。しかし、Webであれば国境に制約は無い(一部の国では制約はあるが)。
一人が訪問できる数は限定される。しかし、Webを使って行うライブコマースは一度に数万人でも数十万人でも視聴が可能であり、そこに決済手段を載せてしまえば購買は完結する。
今日のタイトル「訪問販売」とはまさしく自宅で購買を決定し、決済するプロセスのことである。
このように販売形態の変遷は、商品の製造過程、定価の登場、効率化による低価格化を追い求める歴史であったものが、今は技術革新を背景に人の嗜好を分析し、行動を予測し、自宅にまで訪問することを実現したのである。
では、ショッピングセンター経営は、この技術革新についていっているのだろうか。次号ではそこを深めていくことにする。
西山貴仁
株式会社SC&パートナーズ 代表取締役
東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。2015年11月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。岡山理科大学非常勤講師、小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒
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