SMの鮮魚改革はプロセスセンターだけじゃない!部位別納品を手掛ける水産メーカーを活用せよ
「六次産業」を掲げ、漁業から加工、販売までを一貫して手がける総合水産企業の尾鷲物産(三重県/小野博行社長)。主力事業は「部位別加工」で、求められた魚の部位を少量からでも販売、人手不足に悩む食品スーパー(SM)にとっては、プロセスセンター(PC)の代替機能ともいえるサービスとして支持を得る。
事業の再構築が急務
尾鷲物産の前身は、三重県尾鷲市に本社を構える地場SM企業、主婦の店(北裏大社長)の水産部門である。創業は1972年、リアス式海岸が広がる熊野灘を望む地の利を生かし、地元加工業者からアジやカマスなどの塩干品を仕入れ、自社でパック詰めし提供する事業を始めた。
以降、エビやイカといった水産物の加工、養殖業者向けのエサなど漁業関連商品の販売にも手を広げて業容を拡大、90年後半には売上高は100億円近くにまで伸びる。しかし当時、営業の責任者だった小野社長には危機感があった。
「事業の中身を見ると、不採算の分野が多かった。大手企業の下請けで行っていた水産加工、また単にモノを仕入れて販売する卸売で、約5割を占めていた。このままでは利益が残らず、事業の再構築が急務と考えた」と振り返る。
そこで利益率の低い仕事から脱却し、自社生産する独自商品を中心とする新しいビジネスの道を探り始めた。
ヒントにしたのはノルウェーの輸出戦略だった。養殖サーモンをはじめとする自国の各種水産物を、緻密なマーケティングのもと国を挙げて売り込む手法で成果を上げていることで知られる。小野社長は現地に足を運んで学び、自社も同様のビジネスモデルを構築できるのではと考えた。
2003年、小野氏が経営トップに就任してからは精力的に改革を進めた。それまで投資はせいぜい年間数千万円規模だったが、05年には7億円もの資金を投じ、尾鷲市林町に最新設備を備えた大型加工工場を構える。07年には、原料となるブリの養殖事業も開始し漁業に進出。その後も10年に定置網漁業をスタート、13年にはマグロはえ縄船「良栄丸」を進水して漁業を拡充する一方、直営の小売店も出し、「六次産業」を掲げて独自の「サプライチェーン」をつくりあげていった。
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