森永乳業 代表取締役社長 宮原 道夫
乳で培った技術を生かし健康で豊かな社会に貢献する!

聞き手=下田健司 構成=室作幸江
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「オール森永乳業」としてさまざまなチャネルと連携

──人材戦略についてはどのように考えていますか。

宮原 競争が激しく、環境の変化も速い現在、時代に即した対応力を発揮するためには、組織の壁をなくし、部門間の遠慮を排除して、「オール森永乳業」として力を結集する必要があります。また、前例主義や現状維持といった思考から抜け出し、新たなチャレンジや変革も進めていかなければなりません。

 これまでどちらかというと、縦割りの組織で、ほかの部門への遠慮が大きかったことから、横の連携がスムーズにできるように、部門を横断するプロジェクトを走らせ、全社を上げて取り組んでいます。先述した「夢共創プロジェクト」はその好事例です。チームワークを発揮するためには、なによりもコミュニケーションが重要です。「仕事のリレーゾーンをもて」とよく言うのですが、バトンを次の相手にうまく手渡すことができれば、予想を上回る成果も上げられるはずです。

 さらに、社員一人ひとりにやりがいを持ってもらうことも大切です。仕事というのは、大きな責任が伴い、厳しいものです。しかしながら、「この仕事によって、お客さまに喜んでいただける、社会に貢献できる」といったことを意識することで、誇りややりがいが生まれると思います。

 「かがやく“笑顔”のために」というコーポレートスローガンは、お客さまに笑顔になっていただくことを願っていますが、そのためにはまず社員自身がかがやく笑顔にならなければ、お客さまに価値を提供することはできないでしょう。

──チャネル政策についてはどのように取り組んでいますか。

宮原 当社の独自技術を使った商品の数々を、さまざまなチャネルでお客さまに広く届けたいと考えています。ですから、量販店、コンビニエンスストア、ドラッグストアなどはもちろん、牛乳販売店からお届けする宅配チャネルや、お客さまに直接お届けする通信販売チャネルなどを積極的に開拓しています。

 とくに最近では、新聞配達店や郵便局と協業するなど、宅配チャネルに新たな動きがみられます。通販チャネルはここ数年で大きく伸びており、今後も注力していく考えです。

 また、当社の商品を原料として使っていただくBtoBチャネルも重要です。乳業というカテゴリーにとらわれることなく、あらゆるカテゴリーの商品を通じて、当社の価値をお客さまにお届けすることができるという意味で、当社の企業理念に合致したチャネルといえるでしょう。

──今後どのように成長していこうと考えていますか。

宮原 これからの日本は少子高齢化が進み、今以上に「健康」「栄養」が消費のキーワードになっていくと思われます。長年の研究で培った技術を生かして、当社ならではの価値をお届けすることで、心と体の両面からお客さまの健康を支えていきたいと考えています。

 今やチャネルは、企業、小売業、地域、大学、病院などが一体となって、コミュニティ化する傾向にあります。たとえば、大学の先生を招いての健康セミナーを開催して、購買につなげるといったコラボレーションです。こうしたプロモーションは徐々に増えてきています。

 お客さまと一番近く、ダイレクトな接点をお持ちの小売業の方々は、私たちメーカーよりも有益な情報を多くお持ちです。だからこそ、互いに協力しながら、よりよい商品を提供することで、社会に貢献し、成長していきたいと考えています。

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