コロナ禍の退店跡地をねらう! サイゼリヤがオープンした新業態の小型店レポート
店内にある大きな
冷凍ケースの正体は…
まず、顧客回転率を高められるように、席数44席のうち8席は1人用のカウンター席にして、短時間でサッと済ませる夕食「サパー」ができる場として提案する。
次に、1人当たりの売上を高められるように、サイゼリヤで提供するメニューを、冷凍・業務用食材として販売する。出入口入ってすぐの目立つ場所に専用の冷凍ケースを設置し、「業務用辛みチキン」(1.5㎏・約40ピース2200円)「エスカルゴ」(12個入750円)「ティラミス クラシコファミリーサイズ」(6人分1760円:すべて税込)など7種類を訴求。来店者に自宅でもサイゼリヤの味が楽しめる商品を購入してもらうことで客単価を高める。
ピーク時でも人員数は3人!
秘密はキッチンにあり
最後にとくに注目したいのが、地下鉄赤塚店はピーク時でも従業員3人体制で店舗運営ができるようにしている点である。オープンキッチンを採用することで、調理場から店内の状況がよく見渡せるようにするとともに、調理場と店内間の移動がスムーズにできるようにした。また調理場の設備を改良し、ピーク時でも短時間でのツーオーダー対応を可能にしている。
これらの取り組みにより地下鉄赤塚店は、サイゼリヤの標準店と同様水準の年商をめざす。挑戦的な数字目標だが、かつて南東約150mにサイゼリヤ店舗があり同店では平均以上の売上を稼いでいたこともあって需要はあると見ている。
この小型店モデル確立の先にサイゼリヤが見据えるのは、未開拓の14県への進出や、都市部へのさらなる出店だ。前出のインタビューで堀埜社長は「とくにコロナ禍では都市部で撤退する小売店や飲食店が増えることが想定され、好機だとみている」と話す。
コロナ禍で業績が振るわない外食だが、新たなフォーマット開発やテイクアウト商品の強化を一気に進めており、食ニーズの争奪競争はかたちを変えてさらに激化していくと言えそうだ。
「サイゼリヤ地下鉄赤塚店」概要
所在地 :東京都練馬区田柄2-51-16
営業時間 :11:00~22:00(通常)
店舗面積 :120㎡
席数 :44席