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良品計画2021年8月期上期決算は大幅増益 新中計ではSMとの協業による売場づくりにも注力

「無印良品」を展開する良品計画(東京都/松﨑曉社長)は、20218月期上期の決算を発表した。国内店舗の売上が好調に推移したほか、価格見直しの施策が奏功し客数も増加。宣伝費の削減に成功したことも大幅な増益に寄与した。また、228月期~248月期の3カ年中期経営計画の骨子についても発表された。24年度までに、日本で年間純増100店舗、中国大陸で同50店舗を実現するための体制を構築する考えだ。

※業績の増減比は、前期が決算期変更による半年決算のため、20年9月~21年2月との比較を掲載(良品計画が公表しているデータブック、決算説明資料に準じる)

無印良品では、継続的な価格見直しが客数増に貢献している

食品が約1.5倍に伸長

 良品計画の218月期上期決算は、営業収益が対前年同期比2.7%増の2283億円、営業利益が同48.2%増の233億円、経常利益は同52.6%増の253億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同104.1%増の203億円だった。

 新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要の拡大で、食品や生活用品の売上高が伸長。同19.9%減の宣伝費を中心に販管費が減少したことも奏功し、大幅な増益となった。

 また、かねてより取り組んできた在庫の適正化も推進。モニタリング強化と仕入れ調整によって、たな卸資産は同7%減となった。生活雑貨の問題は解消し、衣服雑貨の在庫についても今期末までに適正化が完了する見通しだ。

良品計画の21年8月期上期決算では、食品の売上が好調だった(写真は「無印良品 東京有明」の売場)

 国内既存店では、客単価は同4.5%減だったが、一部商品を値下げした効果で客数が同13.0%増、国内の既存店売上高は同7.9%増だった。商品部門別の既存店売上高は衣服が同3.4%減となったものの、生活用品が同6.5%増、食品が同53.5%増と大幅に伸長した。「食品が店舗への大きなドローイングパワーになっている」と松﨑社長は話す。

海外では東アジア事業が好調

 事業セグメント別では、国内事業の営業収益が同8.3%増の1471億円、営業利益が同105.6%増の152億円と倍増した。

 一方、海外事業の営業収益は同6.0%減の811億円、営業利益は同2.9%減の78億円だった。海外事業全体では減収減益となったものの、中国を含む東アジア事業の営業収益は同5.6%増の655億円、営業利益は同9.1%増の121億円と好調だった。とくにEC事業が好調で、前年同期と比較して35%ほど増加しているほか、現地企画商品の販売も好調で売上構成比も伸長している。

 西南アジア・オセアニア事業の営業収益は同9.9%減の73億円で減収だったものの、経費抑制を徹底したことが奏功し、営業利益は同53.8%増の8億円で増益を確保した。

 欧米事業は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためのロックダウンや行動規制の影響が大きく、営業収益は同48.7%減の82億円、営業損失は17億円だった。

新中計では日本・中国で出店を加速

 決算説明会では、228月期~248月期の中期経営計画の骨子も発表された。2030年に向けた基盤構築を図り、日本、中国大陸、台湾、タイで出店戦略と店舗機能を刷新する。そのために、24年度までに日本で年間純増100店舗、中国大陸で年間純増50店舗を実現するための体制を構築する考えだ。

 なかでも、国内では地方への出店を加速させる。とくに食品スーパー(SM)内への出店、あるいはSMに隣接する場所への出店を強化したい考えだ。松﨑社長は「当社の商品は生活の基本的なものが中心で、SMの来店客の需要も高いと見込んでいる。無印良品の商品をSM内に組み込んで、一体で売場をつくるなどの協業もしたい」と話す。

今後は地方への出店を強化していく(写真は「無印良品 直江津」の売場)

 218月期通期の連結業績については、従来の予想を据え置く。営業収益は同21.4%増の4876億円、営業利益は同195.4%増の492億円、経常利益は同189.5%増の498億円、親会社株主に帰属する当期純利益は348億円を見込む。国内事業と東アジア事業を中心に売上をさらに伸長させるほか、物流費を中心とする販管費の効率化や値下げ抑制などにより、過去最高益を達成したい考えだ。