2025年度売上高1兆円に向け、店舗を地域の中心核にする=アークス 横山 清 社長
全員参加経営で地域創成につなげる
──17年度はどのような方針で経営に臨みますか。
横山 今年の年頭所感は「全員参加経営 システム統合を軸に地域創成の中心核となりWIN6を推進する」としました。まず、事業会社はそれぞれ置かれた環境は異なりますが、全員参加の経営をめざそうということです。そして、SM経営においては、会社としての信用もさることながら、何と言っても店舗が非常に重要です。システム基盤を整えながら、店舗が地域社会の真ん中にあって、食品の販売だけでなく地域住民に対するサービスを提供する。それが地域創成にもつながるという意味を込めています。
われわれは共同仕入れ機構のCGCと組んで、「お料理する人を応援します」というキャンペーンを展開しています。人間は自分で料理して食べたいという願望を持っています。ですから、人間らしい生き方をするための提案をする必要があります。「そんな生活をしていたらまずいんじゃないですか」とお客さまに問いかける。「余計なことを言うな」と言われるかもしれませんが、そういう提案をどんどん出していく。衣食住を充足させて精神的にも肉体的にも健康な生をまっとうしてもらえるようなお手伝いをする。それも地域創成につながるはずです。ある意味では、新しく生まれ変わっていくような生き方ですね。その中心核になるのが店舗なのです。
50年ほど前に米国の地方SMに行ったところ、店長がその地域の有名人になっていました。お客さまと店長がニックネームで呼び合っている。ああいうものがこれからは大事になります。「地域行事には忙しくて出られない。コストもかかる」というのではダメなのです。
米ホールフーズ・マーケット創業者のジョン・マッキーは著書『世界でいちばん大切にしたい会社』の中で、一方が儲かれば、もう一方は損をするのではなくて、お客さま、従業員、取引先、投資家、地域社会、会社というステークホルダー6者が利益を得るような関係を築くのが重要だと説いています。これを実現するのは簡単なことではありませんが、着実に推進させていきたいと思っています。その元年が17年です。
──店舗が地域の拠点になるのは、経営効率の点でデメリットではありませんか。
横山 経済的にも環境的にも厳しい時代ですから、確かにそういう面があるでしょう。ただ、われわれの仕事は、少しでも世の中の役に立ちたいということです。われわれは地道に豆腐1丁を売ってきました。これからもやっていかなくてはなりません。それによってお客さまの暮らしを豊かにするお手伝いをするのです。
CGC北海道は、レジ袋を有料化して一般社団法人みどりとこころの基金に寄付しています。これを原資にした、月5000円の給付型奨学金を始めました。現在対象者は120人です。地域の中心核になるというのはそういうことです。今後はSM店舗に行って登録すれば、いろいろなサービスや相談が受けられるようにすることも検討しています。われわれは今まさに地域創成のスタートラインに立ったところです。