社会インフラとして卸機能の強化と生産性向上をめざす=PALTAC 木村 清隆 社長
売上高1兆円に向け中期経営計画を策定
──PALTACはマツモトキヨシホールディングス(千葉県/松本清雄社長:以下、マツモトキヨシHD)の連結子会社だった伊東秀商事と10月1日に合併しました。ねらいを教えてください。
木村 DgSの店頭を強化したいというマツモトキヨシHDさんの考えと、シェアを拡大したいという当社の考えが合致したことによる結果です。また、当社の取引量が多いメーカーさまに伊東秀商事さんが強かったことも理由のひとつとなっています。もちろん、マツモトキヨシHDさんは当社の大切な取引先の一つですし、関東圏で大きな力を持った企業との取扱高が増加することは大きなメリットがあります。当社全体の取扱高の増加による、さらなる生産性向上を追求し、製配販全体の発展につながる企業運営をめざしています。
──8月に発表した中期経営計画(16年3月期?18年3月期)では、「社会に真に必要とされる中間流通業に向けた取り組み?売上高1兆円に向けた企業体質の強化?」をテーマに掲げました。
木村 中期経営計画のポイントは4つあります。
1つめは情報システムの強化です。当社のシステムはすべて自社開発で、現在、約150人のシステム開発担当者がいます。これまで15年という時間の中で、システムを少しずつ組み上げてきましたが、古くなっている部分があります。今後3年かけて、標準化とスピード化を念頭に、現行の基幹システムを刷新していく予定です。予算は数億円ですが、外注に比べかなり安価ですし、なにより社内にノウハウが蓄積できます。
2つめは、先ほどからお話ししている、さらなる生産性の向上です。全国のRDCの整備によって機能強化を図り、発注、仕入れから販売、納品にいたる各工程の見直しにより全体の最適化に努めます。
3つめは、中間流通業としての機能強化です。単に商品を販売するだけでなく、小売業さまに対し販促や棚割など店頭施策を提案するほか、発注、配送についての改善点を見つけることで営業・物流・システムの一体型提案をめざすほか、メーカーさま向けに物流受託の取り組みを行うことで流通の最適化をめざします。
そして4つめは人材の育成です。創業当時、数社しか取引先がなかったPALTACが116年間成長を続けてこられたのは、社長や幹部をはじめとした先人たちの努力の賜物にほかなりません。戦後には社長不在という時期もありましたが、チーム一丸となって会社を支えてきたのです。どうすれば会社が成長し社員がよりよい生活を送れるようになるのか。これが先人たちの頭の中にあったのです。前述の「人は財産である」という考え方や「三方よし」の精神はしっかり伝えていきたいと考えています。
年間25億個の生活必需品を出荷する当社は、世の中になくてはならない社会インフラ企業になりつつあります。中期経営計画初年度の16年3月期は売上高8223億円、最終年の18年3月期には売上高8800億円、経常利益率2.1%をめざします。
ちなみにこの中期経営計画はあくまでも成長過程のファーストステップととらえています。売上高はもちろんのこと、生産性を上げることで製配販のウイン・ウイン・ウインの関係を構築していきたいと考えています。