小売業は人のビジネス!従業員のやる気を引き出す=西友兼ウォルマートジャパンCEO 上垣内猛

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
構成:小木田 泰弘 (ダイヤモンド・ドラッグストア 編集長)
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核(コア)である既存店の強化を優先

──CEO就任後の記者会見では、「既存店の価値を最大限に高めたい」と話していましたが、これからどんな成長戦略を描いていますか。

上垣内 小売業にとっての成長は、既存店の成長、新規出店、そしてほかの小売業さんとの提携やM&A(合併・買収)がありますが、当社は「コア(核)」である既存店を強化することを優先します。

 なぜなら、われわれの経営のコアである既存店には、まだまだ成長の余地があるからです。つまり、まだ、最強と言える状態ではありません。

──新規出店やM&Aに対する姿勢を変えるということですか。

上垣内 そうではありません。もちろんオープンなスタンスを継続していきますが、既存店をしっかり育てていくことを優先すべきであると考えます。これはウォルマート国際事業部の各国のCEOが大なり小なり同じく認識していることです。

 既存店を強くしていった先に、もしかしたら「一緒にやりましょう」とほかの小売業さんからお声掛けをいただくこともあるかもしれません。そのときは、もちろん前向きに検討したいと考えています。

 ウォルマート国際事業部の中で西友の評価は高い。日本という成熟市場で、安定的に既存店が成長しているからです。しかし、そうした時こそ謙虚に「あれもこれも」ではなく、自分達が信じてきたことを継続的に実施していくことが大切です。

──強化の対象は、商品的には生鮮食品と総菜、そしてEコマース(ネット通販)になりますか。

上垣内 7月初旬に米国の新しい店舗をいくつか視察してきましたが、生鮮食品と総菜の強化に取り組んでいるのは日本と同じです。

 Eコマースにおいては、グローバル戦略として「店舗とネットの融合」を推進しています。この店舗とネットの融合では、西友は8月初旬にCEOの下にCOO(Chief Operating Officer:最高執行責任者)を置き、COOが店舗運営本部やマーケティング本部、西友ドットコム事業本部など6本部を統括する体制にします。店舗とネットのオペレーションを一気通貫するのがねらいです。

 さらに、お客さまの多様化するニーズに対応する施策も行っています。一例として「SEIYUドットコム」では、お客さまがネットでご注文された商品を店のロッカーでピックアップできる「うけとロッカー」を長野県松本市で試験的に運用しています。今後もお客さまの利便性を追求するなどして、信頼を勝ち取っていきたいところです。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

構成

小木田 泰弘 / ダイヤモンド・ドラッグストア 編集長

1979年生まれ。2009年6月ダイヤモンド・フリードマン社(現ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」誌の編集・記者を経て、2016年1月から「ダイヤモンド・ドラッグストア」誌副編集長、2020年10から同誌編集長。

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