「脱100均」を進めて独自業態の確立めざす!=キャンドゥ 城戸 一弥 社長
《商品》《店舗》《仕組み》の創業でめざすは1000店舗
──さて、「第二の創業」では、《商品》《店舗》《仕組み》の3つの創業を掲げました。
城戸 商品については、これまでの「大きい、重い」から、「小さい、軽い」をテーマに商品開発の方向を180度変えています。
乾電池などの消耗品は一度つくってしまえばそれでほぼ仕事が終わりですが、「アイディア」「癒し」「楽しさ」などを切り口にした商品は、そもそもどんなものをつくればいいのかはっきりとはわかりません。
ですからマーケットリサーチを重視し、いろいろなところにアンテナを立てて、売れそうな商品を見つけて、100円で販売できないか検討します。当社で販売して動きがよかった商品からトレンドが読み取れますから、たとえば「アヒル」が売れたら次は「ブタ」のように、派生商品を増やしていくイメージです。
──商品開発担当者の意識や仕事の仕方を変えるのは大変だったのではないですか。
城戸 売れる商品が変わっているのは数字にはっきりと表れますから、それほど大変ではありませんでした。方向転換は私が単に方針を示すだけでは難しかったでしょう。コンセプトを切り口にした商品が売れる、と数字として明確に表れたことが大きなモチベーションになりました。
──プライベートブランド(PB)商品「DO! STARS」「toi-toi-toi Marche(トイトイトイマルシェ)」の展開もスタートさせています。
城戸 当社の売上高の約3割が独自開発商品です。そのなかで、「DO! STARS」は競合店にはない、品質にこだわったものだけに限定したPBです。ですから値入れ率は低く、利益商材とは言えません。あくまで差別化商品という位置づけです。
14年夏から販売を開始したPB「toi-toi-toi Marche」は、「手づくり」を切り口にしたシリーズです。キャンドルやアクセサリーなど、好きな素材を組み合わせて自作できます。これはまさに「小さい、軽い」商品の代表例です。何かを手づくりする際はさまざまな素材が必要になりますから、買い上げ点数が多いのが特徴です。
──店舗政策では、新ブランド仕様の店舗の新規出店と既存店のリニューアルに力を入れています。
城戸 14年11月期には79店舗を新規出店。34店舗を閉鎖しました。既存店の大型改装は30店舗ほど実施しています。新規出店と改装は今まで以上のペースで進めていきたいと考えています。
当社はこれまで「宝探し」ができるような売場をめざしてきました。しかし、お客さまの購買動向を見ると、すでに衝動買いから目的買いにシフトしていますから、現在は通路を広く取り、フロアマップもしっかり備え、わかりやすさを重視した店づくりをしています。商品政策面では、死に筋商品を減らし、アイディア雑貨や嗜好品を増やしていく方向です。
1年半前から展開をスタートした新ブランド店舗は、約120店舗まで増えました。代表的な店舗は、14年4月開業の「キャンドゥ イオンモール大高店」(愛知県名古屋市)です。
当社の店舗の売上構成は、平均すると雑貨8割、食品2割になります。大高店は雑貨のみとし、日用消耗品も売場の奥のほうに移動させました。その結果、売上は予算の4割増で推移しています。
──大高店を見ると、商品の陳列、打ち出し方がこれまでの100円ショップのイメージとは大きく異なる印象です。
城戸 当社が優れていると自負しているのは、ディスプレー力と商品展開力です。
毎月、本部から各店舗に「52週販売カレンダー」とともにディスプレーなどの参考例を配信していますが、陳列の難易度が高かったり、店舗によってはハード面の制約からそのとおりに売場をつくることができないケースもあります。商品の展開や陳列は個店ごとにアレンジしているのが実際のところです。
また、当社は14年11月期末時点で888店舗を展開しています。そのうち600店舗は直営で、残りの288店舗はフランチャイズチェーン(FC)店になります。
当社はチェーンストアですから、店舗ごとのバラツキは極力なくしたいと考えています。今後、売場づくりや店舗運営など1年かけて標準化を進めていく計画です。
これら《商品》《店舗》《仕組み》の創業を実現し、16年11月期に店舗数1000店舗の達成をめざしています。