将来の成長を見据え、近鉄グループの資産を活用する!=近商ストア 堀田 正樹 社長
大阪府を拠点に、奈良県、京都府で食品スーパー(SM)を展開する近畿日本鉄道(近鉄)グループの近商ストア(堀田正樹社長)。かつて、経営不振に苦しんだ時期もあったが、ここ数年は新店を出しながら、競争力ある店づくりにもチャレンジ、今後の成長に向けて動き出している。堀田社長に成長戦略を聞いた。
2011年、セブン&アイと資本・業務提携
──2013年度上半期の状況はいかがでしたか。
堀田 上半期は対前年比微減でした。非常に厳しいのが現状です。前年度上半期は好調であったため、その反動という面もありますが、結果として減収減益でした。
小売業界における各業態の売上の直近4年間の推移を見ると、業態によって明暗がはっきりしています。苦戦しているのは、百貨店や総合スーパー(GMS)、家電量販店といった業態です。それに対して、程度の差はありますが、成長しているのはコンビニエンスストア(CVS)、ドラッグストア(DgS)、衣料専門店などの業態です。SMの伸びはわずかにとどまっています。
──SMが苦戦している要因をどう見ていますか。
堀田 全国各地で、SMが積極的に出店をしており、SM同士が熾烈な戦いを繰り広げています。また、CVSやDgSが品揃えの方針を大きく変えながら、食品マーケットをじわりと侵食してきていることも大きいと思います。
われわれの商勢圏でも、それは同じです。現在、当社は大阪府、奈良県、京都府で、SM42店舗のほか、ファストフード店・衣料品店などを含め計51店を展開していますが、ここ数年、有力SMや商業施設の出店が増えています。当社のSMについて言えば、競合店が出ると、しばらく10~15%は売上が落ちます。時間が経てば、ある程度は回復しますが、それ以前の水準まで完全に戻すのはやはり難しいのが実情です。CVSやDgSなどの異業態の拡大が、ボディブローのように効いてきているのも間違いありません。
──過去を振り返ると、必ずしも順風満帆ではなく、苦しい時期も経験しています。2011年には、セブン&アイ・ホールディングス(東京都/村田紀敏社長:以下、セブン&アイ)と資本・業務提携しました。
堀田 当社はバブル経済末期の90年代初頭、大型店出店に伴う借入金増による負債がかさみ、徐々に財政状態が悪化しました。そんな中でも、近鉄グループの支援を受けながら、少しずつ業績を回復。09年秋には、約3年半振りに出店を果たし、以来、少しずつ店舗網を広げているところです。
私が、近鉄百貨店(大阪府/飯田圭児社長)から当社の社長に就任したのは11年5月です。同年11月には、セブン&アイと資本・業務提携を締結しました。当社にとっては、新たなステージを迎えました。提携を生かしながら、近鉄グループの一員として、事業を拡大していきたいと考えています。