ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営18 ポストコロナのSCプロモーション、2つの型とは
ショッピングセンター(SC)や百貨店などの商業施設運営ではプロモーション活動のことを販売促進活動、略して「販促」と呼ぶ。しかし、前回解説した通り、販売促進活動はプロモーションの1つに過ぎず、その全体像を理解しないまま販促のみに傾倒することは施設運営としての役割を果たせないばかりか、経費の非効率さをもたらす。プロモーションに関する戦略の誤謬について引き続き解説する。
プロモーションはマーケティングの1つ
プロモーションは、マーケティングミックスを形成する4Pの1つに過ぎない。マーケティングとは、「何を売るか(PRODUCT)」「どこで売るか(PLACE)」「いくらで売るか(PRICE)」「どうやって売るか(PROMOTION)」、この4つをマネジメントすることであり、コトラーの言葉を借りれば「マーケティングの究極の目標はセリング(売ること)を不要にすること」であり、本当はプロモーション活動など不要にしたいのだ。
販促活動の主体は誰か
販促とは販売を促進すること。すなわち売上を上げることであり、お客さまに買ってもらうことであり、財布を開いてもらうことである。言い方は悪いがこれらすべてお客さまに「売り込む」「売りつける」活動である。お客さまの購買意欲を喚起し、躊躇している人の背中を押して購買につなげることがその目的である。
でも、ちょっと待って欲しい。今、ここで行われているプロセスは店舗内で行われるものであって、SCやテナント貸しする百貨店など施設側の仕事でも役割でも責任でもない。
お客さまにモノを売る活動は、テナントとして入居している企業のスタッフが行うのである。それは、テナント企業の専権事項なのである。お客さまにモノを販売する局面に立ち会うのは他でも無い店舗スタッフであり、貸し手側(SC、オーナー、百貨店など)は、そもそも触れられない領域である。
では、貸し手達はこれらを「店舗の責任だから」といって放っておくのか、いうとそうでも無い。なぜならSCも百貨店も施設側も売上に連動する歩合賃料や消化仕入れという形態を取っているため、売上の増加を皆がめざしているからだ。
だからこそ、皆が同じ方向に向かって販促活動を考えるのだが、これらをもう少しビジネスのフレームとして理解したい。その方法は、販促担当と矮小化された理解ではなく、マーケティングとして理解することが必要である。
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