ブランドリユース大手コメ兵、持株会社化のねらいとAI活用進める「リユーステック」とは?
生命線は「買取」コロナ禍で出張買取を強化
――リユース業態の特性を鑑みると、店舗への来客が減少すると買取が増えず、結果販売が伸びにくくなります。買取の状況はいかがでしょうか。
石原 おっしゃる通り、買取は一番重要な生命線です。買取数を伸ばすことが業績向上のための最大のポイントだと考えています。しかし、そもそもの来店客数が減少しているので、買取も以前のペースには戻っていません。コメ兵では、販売と買取をどちらも行っている店舗のほかに、買取専門の店舗(KOMEHYO買取センター)も5店舗展開しています。そこでもやはり、都市部で苦戦し、住宅街に近い店舗では安定している、という傾向があります。伸び悩んでいる店舗については移転も視野に入れながら、買取数をできるだけ伸ばしていきたいと考えています。
――買取数の減少をカバーするために工夫されていることはありますか。
石原 街に足を運ぶこと自体が敬遠されている傾向がありますから、こちらから“出向く”必要があると考えています。例えば、郊外のショッピングモールなどにスペースを借りて、出張買取をしています。これはコロナがきっかけで始めたものではなく、2年ほど前の法改正で店舗外買取ができるようになって始めた取り組みですが、今年は特に回数を増やして行っています。特徴として、店舗での買取はリピーターのお客さまが多いのに対し、出張買取では新規のお客さまが多いということがあります。新規開拓を含めて効率的に買取をすることが、回りまわって店舗の売上回復に繋がっていると思います。
“取り寄せ”でオンラインと実店舗をつなぐ
――コロナでオンライン販売の需要が高まっていると思います。
石原 コメ兵のオンライン販売には2種類あります。ネットで商品を見て、そのまま通販としてご購入いただくものと、ネットで見た商品を近くの店舗に取り寄せ、実際に見たり試着したりしてから購入するかどうか決める、というものです。今特に伸びているのは後者の取り寄せです。以前は売上全体の2~3.5割程度がオンラインショップの関与があった売上でしたが、これが今は平均で4割を超えています。来店客数は減っているものの、オンラインショップを介しての来店・購入は増えています。
――取り寄せを希望する人と、オンラインだけで完結して購入する人にはどのような違いがあるとお考えでしょうか。
石原 オンラインのみで購入される方は、店舗にもよく来てくださるリピーターのお客さまが多い傾向があります。コメ兵のオンラインショップでは商品写真と、商品の状態に応じたランク付けを見ることができますが、慣れてくると写真とランクだけで十分イメージがつかめるようになるからでしょう。
ただし、全体的には取り寄せを希望される方が多いです。安心感が得られることや、接客を介して従業員とコミュニケーションがとれることで、単価が高いものが動きやすい傾向ですね。
――オンライン化が急速に進む中では、顧客接点をどう確保するかが重要になります。対策をどうお考えでしょうか。
石原 取り扱い商品の特性上、「心配だからちゃんと話を聞いて納得して購入したい」というお客さまが多いと思っています。コールセンターの整備をするなどして、買うまでのプロセスの中で安心感を付加価値として提供したいですね。
このほか、従来は買取機能しかなかった買取専門店も取り寄せに対応することで、お客さまとの接点を持てる場を拡大する取り組みもしています。すでに「経堂農大通り店」(東京都世田谷区)、「向ヶ丘遊園駅前店」(神奈川県川崎市)などで同施策をスタートしています。