ファミリーマートの売り場はなぜ商品が見つけやすいのか
大事なのは「カラー」をいかに使うか
最初の衝撃的な体験は、ユニクロ時代だった。まだフリースブームが始まる前のこと、次に展開する売り場を体育館に仮設して確認する会を澤田は担当した。売り場を変えたかった澤田は、アメリカのアパレルの関係者に会い、彼に売り場の変更を頼んだ。
「そうしたら、アメリカから3人の担当者が送り込まれてきたんですね。そして、半日だけ時間をくれと言う。そうしたら、この売り場を全部、変えるから、と」
澤田と柳井は半日後に売り場に戻って仰天した。
「びっくりしました。商品は変っていないんですよ。ところが、まったく違う売り場になった。並べ方、色使い、マネキンの使い方、袖のまくり方など、あまりのカッコよさにひっくり返りそうになりました」
ここまで違うのか、自分たちの売り場づくりは間違っていた、と澤田と柳井は痛感したという。まずは売り場を改革していかないといけない。売り場から考えないといけない。なぜなら、来店客はその売り場をこそ見るからである。
後に澤田はフリースキャンペーンで、ユニクロの大ブームを起こすことになるが、背景にあったのは、いかに見せるかという売り場づくりへのこだわりが大きかった。
「あのときも、売れている店と売れていない店の違いは、明るいカラーがちゃんと揃っているかどうか、ということが大きかった。カラーのバリエーションが揃っていない店は、売れないんですよ。売り場を見ると、どんよりと暗い色調で、その差は歴然でした。柳井さんにそれを指摘されて怒られて、僕は強烈に学んだんです」
ナショナルブランドの商品でも、実は特徴あるカラーの商品のキャンペーンは、よく売れるという。その商品を固めることで、来店者はすぐに目に留めることになるからだ。
「売り場に入ると一発でわかる。売り場を固めるときには、カラーが大事なんです」
そして澤田のこうした提案に、加盟店はすぐに賛同する。「お母さん食堂」も「ファミ横商店街」も一気に広がっていった。
「加盟店さんは、儲かると思ったらすぐにアクションされるんです。店舗を経営する立場としては売上げが上がることには非常に敏感です。一方で、本部はまだまだサラリーマン気質。その緊張感に差があることは否めません。その差を縮めるための危機感をどれだけ共有できるかが、いまの重要課題なんです」
ファミリーマートの売り場に行って、チェックしてみるといい。店舗に入るとすぐ、どんなものがどこにあるのかが、以前に比べてわかりやすくなっている。