ファミリーマートの売り場はなぜ商品が見つけやすいのか

2020/06/26 05:55
上阪徹

コンビニ業界2位のファミリーマート。2016年9月に社長に就任した澤田貴司氏は、サークルK・サンクスとのブランド統合だけでなく、商品構成、店頭オペレーション、さらには自ら前面に露出するマーケティング手法など様々な改革を進めてきた。とくにファミリーマートの店頭売り場については明らかに見栄えがよくなったという声も聞かれる。上阪徹氏の著書「職業、挑戦者」からその一端をお届けする。

ファミマ外観
澤田社長のもと店頭売り場やマーケティング改革に取り組んだファミリーマート。変化はいたるところに見られる

ポテンシャルは売り場にあった 

 もう1つ、澤田が社長に就任してから変わったのが、ファミリーマートの店頭だ。澤田の言葉でいうと、「売り場を固めた」。カテゴリーごとに、商品をまとめていったのだ。

「当たり前なんですが、お客さまはお店に入ったときに、まず全体を見渡すんです。個別の単品に真っ直ぐに目を向ける、というお客さまは実は少ない」

 来店者の目線に立てば、実はそのことに気づける。ところが、商品開発は基本的に単品ごとに行われるのだ。

「だから、単品を開発することには一生懸命に情熱を懸けるんですが、それが売り場にどう並んで、実際に来店されるお客さまにどうインパクトを与えているか、という発想が抜け落ちてしまうことが多い。ただ、これは経営の責任なんです。経営こそが、お客さまの立場に立って、もっと俯瞰して物事を考えていかないといけないんですから」

 いいものをつくれば売れる、という時代はすでに終わっている。過去の焼き直しも通用しない。来店客に、どう売り場を見てもらうか、どう商品を見つけてもらうか、ということが問われてくるのだ。

「だから、売り場を固めるんです」

 そのために、総菜売り場には「お母さん食堂」という名称のコーナーをつくった。温めるだけのプライベートブランド(PB)商品のパッケージも、このコーナーのロゴに合わせたエンジ色に統一した。総菜のほとんどが、このコーナーで売られている。

「お客さまが見えたときに、パッと『お母さん食堂』が目に入る。そうすると、総菜売り場だということがすぐにわかる。見え方がぜんぜん違うんです。そこに、総菜を固める」

 実際、商品の内容はほとんど変わっていないのに、お母さん食堂のコーナーをつくってから、総菜関連の売上げは約2割上がった。70兆円の食全体の市場に向け、各社は商品開発にしのぎを削ってきたが、実は売り場にこそ大きなポテンシャルがあったのだ。

「単品をどんなに頑張ってつくっても、実は売り場では伝わらないんですよ。何をお探しですか、何のために来店されましたか、とお客さまの目線で考えると、そのことに気づける。まとまったコーナーをお客さまは見るんです。見え方がいかに大事か、ということです」

 同じように、ファミチキや焼きとり、コロッケなどホットスナックを扱うコーナーも「ファミ横商店街」のコーナー名称ができて、カウンターの上にPOPが掲げられている。

「でも、こういうマーケティングも、誰も教えてくれなかったんだと思います。僕自身、何度も痛い目に遭って、学んできたことですから」

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