不二家が仕掛ける”レトロ企画”ヒットの理由 平成を代表するあのブランドとのコラボも

2025/11/13 05:14
西岡 克(フリーランスライター)

自社の強みを生かし新たな価値を加える

不二家催事「ペコちゃんの学校」
2024年8月に京王百貨店 新宿店で開催した催事「ペコちゃんの学校」

 不二家の2024年12月期連結業績は売上高1099億8400万円(前期比4.2%増)、営業利益22億9800万円(同67.2%増)。うち洋菓子事業の洋菓子は247億5500万円(前期比1.7%減)と苦戦した。今上期(1~6月)は売上高566億8600万円(6.6%増)、営業利益12億200万円(同10.5%増)で、洋菓子事業の洋菓子は123億8900万円(前期比5.0%増)と堅調さを取り戻している。

 ただし不二家洋菓子店の店舗数は2024年12月末で892店(前期差47店減)、今年6月末時点で865店(前年同期差48店減)と減少が続いている。コンビニスイーツの台頭などで洋菓子店が押されているのは事実だ。加えて昨今の原材料高や人件費、物流費の高騰もあって、値上げを余儀なくされている。

 不二家は2023年9月にロゴマークを含めた店舗サインや包装紙などの洋菓子店のビジュアルアイデンティティ(VI)を刷新し、約100店(※2025年6月末時点)を新VIに切り替えた。既存店の改装や百貨店などでの催事にも力を入れている。

ペコちゃんmilkyドーナツ有明ガーデン店
新業態の「ペコちゃんmilkyドーナツ」は商業施設を中心に出店。「ミルキー」の風味をイメージした軽いくちどけのドーナツを提供する

 またドーナツに特化した新業態「ペコちゃんmilkyドーナツ」の展開を昨年9月にスタート。神奈川県を中心とした首都圏の商業施設のほか、札幌や福岡にも店を広げ、9月5日に開店した戸塚モディ店(横浜市)で店舗網を11店(2025年9月末時点)まで拡大した。冷凍スイーツの自販機も9月末時点で280台と拡大し、北米市場への輸出の強化、コンビニエンスストアや外食チェーン向けの積極的な製品提案など、巻き返しをかけている。

 「自社にしかない強みや付加価値をアピールする施策を重視している。近年は特に新しさ、SNS映え、健康志向、ぜいたくや非日常などを組み込んだご褒美的な存在の製品が注目され、注視している」と営業推進課の瀧澤美空氏は語る。

 不二家が1910(明治43)年に創業して以来、培ってきたブランド力や信頼をベースに、ユニークな切り口で企画商品を開発し、ヒットにつなげた今回の「昭和100年」企画。第4弾(12月中旬ごろまで発売予定)の反響も楽しみだ。

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