東京建物初の地域密着型商業施設「minanoba相模原」の全貌と戦略

西岡 克(フリーランスライター)
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minanoba相模原

252-0314 神奈川県相模原市南区南台3-1-30
電話:03-6854-6003(プライムプレイス本社)
小田急電鉄小田原線「小田急相模原」駅から徒歩9

見どころ
▶東京建物が初めて開発したNSC
▶相模原市内に11年半ぶりに出店した「ライフ」
▶入口のスマホ連携自動ドア「ミライロドア」

 東京建物(東京都/小澤克人社長)は同社初の近隣型ショッピングセンター(NSC)「minanoba(ミナノバ)相模原」を小田急電鉄小田原線「小田急相模原」駅から徒歩9分の県道51号線沿いに35日に開業した。日常生活を支える生活必需品やサービスがワンストップで揃う「暮らしのインフラ」をコンセプトに、地域密着型の商業施設として運営する。総賃貸面積は6300㎡。地上2階建てのエンクローズドモールで、屋上に140台の駐車場を設けた。

長谷山隆史商業事業部長 「消費者は時間を有効に活用したい。生活必需品やサービスにすぐアクセスできるコンパクトな施設のニーズが増大している」

 食品スーパーの「ライフ」(賃貸面積約700坪)を核に、調剤併設型ドラッグストアの「トモズ」(同200坪)、日常衣料の「パシオス」(同300坪)、100円ショップ「セリア」(同170坪)などを配置。回らない回転ずし「魚米」や英会話教室も誘致した。一括賃貸するクリニックモールも今後開院、地域住民の日常を支える。16区画中12区画にテナントが出店、または内定済みだ。

 半径12㎞圏の足元商圏を中心に、徒歩や自転車で来館する30代~40代の働く世代を軸にしたファミリー層や単身者を呼び込む。より広域の5㎞圏からも集客する。商圏人口は1㎞圏が45000人、2㎞圏は168000人。2人以上の世帯が半数を占め、30代~40代の女性が多い。西側に在日米軍住宅地区があり、約1500人の在日米軍関係者も住む。

 建物はアースカラーを基調とした周辺環境になじむデザイン。内装は木目調で明るい雰囲気の店内となっている。建物入口に高齢者や視覚障害者、子育て中のお客がスマートフォンを持って近づくと、誘導案内が音声で流れ、自動ドアの開放時間や開閉速度を自動調整する「ミライロドア」を国内で初めて設置した。

 施設の管理・運営は子会社のプライムプレイス(東京都/川村崇代表取締役)が担う。

 東京建物は群馬県伊勢崎市に2008年に開業した広域型SC「スマーク伊勢崎」を運営。都市型の飲食店ビル「ファンデス」も7棟、ビルイン型施設も展開しているが、ビル事業や住宅事業が主力で、商業事業は手薄だった。「事業ポートフォリオの1チャネルを増やしたい」(長谷山隆史商業事業部長)として、小商圏で成立し、用地の開発余地が見込まれ、短い工期で建築できて、安定的な賃料が確保できるNSC事業に参入した。

 今後も「ミナノバ」名で13県の首都圏近郊を中心に、年間1施設のペースで新規開業し、シリーズ化する。2号店は26年に埼玉県川口市に開業する。3号店も内定している。札幌や福岡など大都市への出店も検討する。立地によっては3階建てのコミュニティ型SCCSC)を開発することも視野に入れる。

 なおNSC事業は最終的には投資ファンドなど投資家への売却をめざす「短期回転型事業」と位置づけている。

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