日本の農業を守りたい! 食品ロス削減に挑む「サステナブルジェラート」とは
農産物の含有量が一般的な商品の1.5~2倍

ジェラートづくりにも一から挑戦した。まずは地元・大阪のジェラート店に修行したいと電話したものの、断られ続けた。とにかく連絡をし続けるなかで、唯一承諾してくれたのが埼玉県にある和菓子店だった。
「1カ月後には会社を辞めて埼玉県に移り住み、ジェラートづくりを学んだ。製造する機械をはじめ、どのような設備が必要かを理解できたとともに、特に工場の現場オペレーションに関するノウハウを得られたことが大きかった。たとえば働く人の腰に負担が少ない冷凍庫のタイプや配置など、ときにはパート従業員の女性から愚痴を聞いたりもしながら学んだことが、今の工場に生かされている」(小林氏)
1年間の修業期間中に調理師の免許も取得した。どのような果物や野菜がジェラートに向いているか、おいしく仕上げるにはどのような組み合わせやバランスが最適かなども勉強していった。
そしてアイスクリーム類製造業の許可を取り、2023年2月に「PICCORESTA GELATO」を個人で創業。順調に事業展開を拡大し、法人化したほうが取引先との契約がスムーズになることから株式会社化し、2024年7月にフォレストバンクを設立した。
フォレストバンクが手掛けるジェラートの特長は、農産物の含有量の多さ。果汁成分などが濃く、一般的なアイスクリーム類の1.5倍から2倍ある。農家との人脈で独自の買取網を構築し、旬の農産物を破格の値段で仕入れられ、贅沢な使い方ができる。
「捨てるのにもお金がかかるから引き取って、と言われてキウイフルーツ4トンを仕入れたこともある。無償提供してもらうわけにはいかないので、購入させてもらっているが、それでも安価。だから原価を抑えて果汁75%といった濃厚なジェラートが作れる」(小林氏)

農協に共同出荷ができない規格外の農産物を引き受けることで、農家も助かる。Win-Winの関係性を築いている。しかもOEM製造の最小ロットは20カップ。小規模事業者が地産地消のジェラートを売り出したいというニーズにも応え、市場に出回る量が少ない希少品種の果物や野菜を使ったプレミアム商品も作れる。
また、未開封のまま賞味期限が迫ってきたジャムを引き取ってジェラートに加工し販売することで、廃棄を回避することも。現在はアイスクリーム製造法に則り、ジェラートと同様に賞味期限の表示義務がないスムージー、ポタージュも手掛けて商品ラインアップに加えている。






注目急成長企業も多数ランクイン!日本の小売業1000社ランキング151~1000位を全公開


