楽天市場、一律の送料無料化延期の理由は?
送料を無料化した店舗への支援を開始
今回の会見では、送料無料化の対象となる店舗への支援策として「安心サポートプログラム」の内容も明らかにされた。同サービスが提供されるのは、送料を無料化した全店舗。無料化実施後の売上・利益の減少を不安視する出店者の声を反映し、送料無料化の影響で減少した利益額、もしくは送料差額を対象として給付金が支給される仕組みだ。
安心サポートプログラムの適用期間は、数カ月間程度を想定しているという。送料無料化によって出店者への負担が大きくなるという指摘が多いなか、新型コロナウイルスの影響も鑑みて「出店者の不安を緩和するセーフティネット」(川島氏)を提供する目的で同サービスの導入を決定した格好だ。
「明瞭な料金体系の実現」という本来の趣旨から遠ざかる結果に
一律導入延期の背景として新型コロナウイルスの影響を挙げる楽天だが、2月末に公正取引委員会が東京地方裁判所に同施策の「緊急停止命令」を要請したことが多分に影響しているとみてよいだろう。
楽天は今後も楽天市場の出店者や利用者にとってメリットのあることを実施するという方針自体は変えず、裁判所や公正取引委員会に対しては学識者の意見書を提出するなど、丁寧な説明や話し合いを続けていくという。出店者に対しては20年5月をめどにあらためて今後の送料無料化の方針について提示するとしており、現時点では出店者の準備状況に応じて段階的に導入を進めていく考えだ。
今回の延期や安心サポートプログラムについては出店者にも通知したばかりであり、実際にどの程度の出店者が送料無料化を実施するのかは不透明だ。しかし、これからは送料無料化を実施する店舗とそうでない店舗が混在することになるため、消費者への混乱は避けられない。顧客により明瞭な料金体系を提供するという本来の目的からは遠ざかってしまう結果となった。
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