こんにちは、成田直人です。前回、「管理が店長の仕事」という時代は終わったと言いました。ではこの店舗経営2.0の時代にあるべき本当の店長の仕事とは何か?についてお話します。
管理から創造型運営へ
これから店長の仕事は大きく変わります。
前回も挙げましたが「店舗経営2.0」の到来で、「店舗に来店する顧客の多様化したニーズ」に応える店舗運営がいま、求められています。
たとえば私がコンサルティングしているあるホームセンター企業は昨年、「一人鍋コーナー」を他店と比べて2倍以上の広さを確保しました。理由は過疎化した地域ということもあり一人暮らしの年配者が増えたからです。おそらく私がコンサルで入らない限りこのような施策は許されなかったでしょう。どこでも同じサービスを提供するのがチェーンストアだからです。
しかし、店舗で毎日顧客と向き合っているスタッフは「もっとこういう商品を仕入れれば売れるのにな…」「もっとコーナーを大きくすればいいのに」と顧客に寄り添うからこそアイデアがたくさんあります。昨年入ったコンサル先のホームセンターでは部門別で対前対比50%増以上の売上を上げたところがほとんどでした。中には同6倍を超える部門までありました。
ホームセンターをはじめチェーンストアのビジネスモデルはもう古くなってきています。だからこそ、来店する顧客のニーズに耳を傾ける、すなわちスタッフのアイデアに耳を傾けることが店長にとって必要な仕事なのです。本社の言われたとおりに仕事をこなしているだけでは飯が食えない時代になっているからこそ、顧客の多様化しているニーズに耳を傾けて店内販促を自分たちで考えて本社に提案し実行に移すというリアルタイム販促が必要なのです。
店長はスタッフの意見に耳を傾ける
「どうしたらもっとお客さまになくてはならない店になるだろうか」と日々考えてアイデアを練り上げます。もちろん1人でやるのではなくスタッフと一緒につくり上げます。管理の仕事は極力スタッフに依頼をし、未来の売上づくりのためにアイデアを考えましょう。そうすることでスタッフにも主体性がわいてくると同時に離職率が下がります。なぜ下がるのか? それは、仕事が楽しいからです。毎日同じことの単調作業から、創造性を発揮できる職場はとても満足度が高いし、「私はこの店舗になくてはならない存在だ」と認知することができるからです。だれでもできる仕事から自分にしか生み出せない価値を創造することでES(従業員満足度)は向上します。
「店舗経営1.0」の時代は店長が指示を出し、スタッフはそれを受け入れるという縦割りの組織でしたが、「店舗経営2.0」は横並びになります。むしろ店長は縁の下の力持ちになりスタッフの創造性を歓迎し支援することが重要です。顧客は常に選択肢にあふれています。だからこそ飽きさせないことが店舗に求められている、その期待に応えられない店はつぶれていくのです。
このことは私が運営しているウェブサイト「店舗経営2.0」でも紹介しているので、ぜひ勉強がてらのぞいてみてください。「管理」から「創造」へと仕事が変わり、学ばなければいけないことも増えました。正直、店舗を管理してお金をもらえる時代は楽だったと思います。これからは自分たちで顧客を創造しなければいけないのですから難易度は間違いなく高い。大変だとは思いますが、やりがいのある仕事にどんどん移り変わります。スタッフと一緒に頭に汗をかいて顧客が喜ぶ企画やレイアウト、店舗空間にして「ワクワク」が途絶えない店づくりをしていきましょう。
次回は、店舗発販促案で圧倒的な成果を出す方法をお伝えします。どうぞ次回もお楽しみに!
なりた・なおと
19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。