丸谷智保社長が明かす 「人口急減でも、セコマが北海道外へ出ない」で成長できるスゴい戦略

ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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カテゴリーマネジメントで負の影響を相殺する

──19年10月からの消費増税では、どんな影響がありましたか。

丸谷 CVS(コンビニエンスストア)には、消費増税に伴う「2%のポイント還元」という追い風もありましたが、たばこの減収といったマイナス要因もあるので、効果は相殺された感じです。

──とりわけ、税率が10%になった酒類が厳しいという声を聞きます。

丸谷 厳しいのは同じです。とはいえ、「ビール離れ」や甲類焼酎の市場縮小といった現象も前から続いているので、消費増税だけの影響ではありません。それに、酒類にも、チューハイのように伸びている商品もあります。当社では、そうした新しい成長分野に注力することで、売上減少分を補完しています。まさに、カテゴリーマネジメントですね。

セコマ 酒コーナー
増税以降、酒類販売が厳しいなか、セコマでは戦略的に伸びるカテゴリーを見つけ出し、そこに特徴あるオリジナル商品を投入することで売上の確保に成功している

──具体的に、酒類ではどのような取り組みをしているのですか。

丸谷 オリジナル商品を中心に、新しいジャンルの育成に取り組んでいます。EUとのEPA(経済連携協定)が19年2月に発効し関税が即時撤廃になったので、ワインは価格帯を引き下げ、おかげで販売数量が増えています。ビール類については、オランダ産の直輸入「オランダモルト39」など「第三のビール」に力を入れました。そのほか、余市産完熟トマトを使った珍しいチューハイ、十勝産ブランデーを使った「十勝ブランデーハイボール」といった新商品を投入し、手ごたえをつかんでいます。

PBを開発し育てる独自の体制

──セコマのプライベートブランド(PB)商品には、定評があります。商品開発体制について教えてください。

丸谷 商品本部に商品部があってそのなかに商品開発グループがあります。アイス、漬物、珍味といったジャンルごとに、商品開発担当者がいます。食品は、元の素材の良しあしが品質を左右するので、商品開発では調達も重要。そこで、調達専門部隊も組織し、道内外の農協や契約農家、自治体などをこまめに回って、調達ルートを開拓しています。そのほか、輸出入部というセクションもあり、現在23カ国から食品の原料を輸入しています。けれども、商品開発部隊と調達部隊だけで、オリジナル商品をつくっているわけではないのです。

──といいますと?

丸谷 たとえば、総菜工場にも商品開発室があって、調理師や管理栄養士の有資格者が5人ほど所属しています。セイコーフレッシュフーズという物流子会社にも、20人ほどが所属する商品部を設けて、EDIで在庫管理をしています。商品本部には販促企画部、広告宣伝部もあって、商品開発部隊や調達部隊と連携し、オリジナル商品を売り込んでいます。商品開発から売場づくり、販促、在庫管理まで、全社一丸となって体制を構築しなければ、新しい商品が育たないためです。

──北海道らしい商品がどんどん増え、ヒットを飛ばしていますが、その秘訣は何でしょう。

丸谷 道内の調達網を充実してきたことが大きいですね。たとえば、フードロス対策の一環で規格外の道産メロンをオリジナル商品に利用したり、商品名に産地の市町村名を入れたりするといった取り組みを、コツコツと続けてきました。それが、道内の自治体や農協から、評価されるようになったのでしょう。当社から商品開発の相談に行くと各地で歓待してくれるし、生産者側からタイアップを申し入れてくるケースも多いですね。

──道内産品を生かしたオリジナル商品には、どのようなものがあるのですか。

丸谷 たくさんありますよ。今年発売したものだけでも、20種類くらいあります。たとえば、むかわ町穂別地区のカボチャを使った商品、増毛町のラ・フランスを使った商品、北見市のミントや仁木町のブドウを使った商品などがあります。原料が限られているときは、当社の全店で販売するのではなく、産地の一部の店舗だけで販売するケースもあります。地域密着は、そうしたかたちでもいいと考えています。

 “北海道色”を前面に打ち出せるオリジナル商品は、外販先にも好評なので、強化したいですね。

セコマ オリジナル商品
冷凍食品も自社オリジナル品。SMなどへの外販も行っており、外販先のニーズに合わせて、商品パッケージを変更することも行っている(左)栗山町産のいちごを使ったソフト。商品名に産地の市町村名を入れたりするといった取り組みを、コツコツと続けながら、地域ブランド力の向上にも取り組む(右)

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