粗利減・経費増の現状に活路を開く! サミット、カスミ、ヤオコーの戦略

2024/11/28 05:59
宮川 耕平(日本食糧新聞社)
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ヤオコー トップラインの更新に挑み続ける

 ヤオコーは、24年度上期も増収増益でした。せんどう(千葉県)を連結子会社化した連結ベースはもちろん、単体ベースでも既存店の売上を対前年同期比で6.3%伸ばして増収増益としました。それでも川野澄人社長は「トップラインである売上の高い伸びが支えているが、売上総利益率は伸びず、販管費比率は上昇という構図は他社と変わらない。トップラインが落ちれば、途端に減益になる」と警戒します。確かに、増益ながらも営業利益率は前年同期の6.3%から5.9%に低下しています。

 ここ数年、ヤオコーは売上のトップラインを伸ばすことにプライオリティを置いてきました。コロナ禍で急伸した売上をさらに超えていくためです。集客力を高める目的で冷食などをEDLP(エブリデー・ロープライス)化したり、特売企画「厳選100品」や、月に1度のカテゴリー割引など安さの打ち出しを強めてきました。一方で生鮮・総菜の商品開発ではセンターも活用したSPA(製造小売り)化でバリュー創出に努め、独自の催事として鮮魚の大豊洲祭りを毎月恒例に、十五夜の販促などを毎年恒例に育ててきました。こうした集客策が、売上増の原動力になっています。

ヤオコーは自社センターを活用して総菜カテゴリーを拡充(ヤオコー新百合ヶ丘店)

 売上総利益率の低下・販管費比率の上昇という構造への対応として、ここでは最近の取材からサミット、カスミ、ヤオコーを取り上げたわけですが、3社は3様でありながら、独自性を高め売上につなげようとする意図は共通です。それでも売上総利益率を改善するのは容易ではなく、逆に販管費比率は上がり続けるところが、目下の環境の厳しさです。

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