市場縮小でも将来性あり!ダイドードリンコが自動販売機にこだわる理由

2024/08/22 05:57
堀尾大悟
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アイデンティティはあくまで「飲料メーカー」

FRISK SPARKLING
FRISK SPARKLING

 マクロトレンドでは自販機設置台数が減少しつつある中でも、独自の自販機オペレーションのさらなる強化を図り、飲料メーカーの中で安定した地位を築いているダイドードリンコ。一方で、中島氏は次のように語る。

「『ダイドー=自販機』のイメージから誤解されやすいが、私たちは自販機のオペレーターではない。自社のアイデンティティは『飲料メーカー』である」

 つまり、ビジネスの核はあくまで商品開発であり、自社商品を効率よく届けるベストな手段として自販機を選択している、ということだ。

 そのダイドードリンコの商品は、他の大手飲料メーカーとは一線を画した“攻めた”ものが多い。

 いま世間の話題を集めているのは、2024年5月に新発売したリフレッシュドリンク「FRISK SPARKLING」だ。

 ミントタブレットの「フリスク」を思わせる冷涼感をドリンクで再現。GABA配合で疲労感軽減、ストレス軽減をうたった機能性表示食品だ。販売開始以来、SNSで評判を呼び「どこで買える?」「近くのダイドーの自販機では売り切れた!」などの投稿が飛び交っている。

 また、近年力を入れているのが、女性をターゲットに美容・健康を打ち出し、女性をターゲットにした商品開発だ。

 実は自販機には、「購買層の圧倒的多数を占めるのが20~40代の男性である」という動かざる事実がある。自販機販売に依存する同社にとっても、女性購買層の開拓はかねてからの大きな課題だった。

 そこで「オフィスに勤務する女性にも自販機を利用していただけるように」とのねらいで、化粧品ブランドの「肌美精」とコラボしたシリーズや、現代の食事で不足する栄養素を補給できる「和ノチカラシリーズ」などを展開している。

「もちろん自販機にこだわるわけではなく、女性向けの商品はコンビニなどの卸売の割合を高め、お客さまに最も広くお届けできる販売チャネルを適宜選択している」(中島氏)

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