離職率が下がり店長の負担も減少 多拠点ビジネスの生産性を高める「ABILI Clip」とは

2024/04/01 05:59
小内三奈
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小売、外食などの大手チェーン店を中心に、50万人以上が利用するマネジメントサービスを展開するClipLine(東京都)。2013年の創業から11年目、次々と新サービスをリリースし事業拡大を進めている。日本の基幹産業であるサービス業をターゲットに、多拠点ビジネスならではの課題に着目した支援を行うことで生産性を高め、現場で働く人のQOL向上を目指す。ClipLineが手掛けるサービスとはどのようなものなのか。新たに追加されたサービスの内容、今後のビジョンについて、代表取締役社長の高橋勇人氏に話を聞いた。

大手チェーンを中心にユーザー数は50万人以上

ABILI Clip利用イメージ
店舗に用意された端末や各スタッフのスマートフォンで利用されている

 サービス業界ではセルフ型端末やロボット導入などによって省人化、省力化を積極的に進める一方で、慢性的な人手不足のもと、従業員の労働生産性をどう上げるかは大きな課題である。とくに、多拠点ビジネスの場合、現場で働く従業員の人数が多く、非正規社員の占める割合が高いため、標準化された教育システムをどう運用するかは最重要課題の一つだ。

 「多拠点ビジネスの現場で、店の売上を任される店長がマネジメントをしやすくなる仕掛けをつくりたいというのがClipLine創業のきっかけ」と高橋氏は話す。

 アクセンチュアでコンサルタントとして働き、外食チェーンやアミューズメントチェーンの店舗売上をアップさせる支援をしてきた高橋氏は、本部からの指示が伝言ゲーム化していて意図がうまく伝わっていないこと、現場の従業員を束ねる店長のマネジメント能力が売上を大きく左右することを痛感したのだという。

 そこで開発したのが、「ABILI Clip」(アビリクリップ)という動画型のマネジメントシステムだ。本部と現場をダイレクトにつなぎ、動画を通じて個々で実践研修を行ったり、本部の考えや知っておくべき重要事項などを学習できる仕組みで、現在同社が展開するABILIブランドの主軸サービスとなっている。従来は「ClipLine」(クリップライン)という名称でサービス展開しており、小売・外食業界で知られたサービスだったが、23年8月にサービスをリブランドした。

 「創業以来目指しているのは、人の手によるサービス、人の顔が見えるサービスの現場で『できる』をふやすプラットフォームを提供すること。動画を活用して標準化されたマネジメントを行うことで、現場をまとめる店長の負担が減り、店舗・拠点間でのマネジメントのバラつきがなくなって、結果的に店舗の売上向上や顧客満足度のアップにつながっていく」

 ABILIの導入先は、そごう・西武、スーパーマーケットチェーンのオオゼキやイズミヤ、成城石井、コンビニエンスストアのNewDays、外食チェーンの吉野家やファーストキッチン、ペッパーランチなどをはじめ、その他生活サービス企業、介護、保育企業に至るまで、ユーザー数は50万人を超えている。

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