第82回 今後支持されるSC、滞在型のライフスタイルコミュニティセンターとは

西山 貴仁 (株式会社SC&パートナーズ代表取締役)
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前回、ショッピングセンター(SC)は、変化する消費者の生活様式に対応する必要性を主張した。今や日本人の平均年齢は50歳となり、子供いる世帯は18%しかなく、20代女性は5%しかいない。このような社会を目の前にして駅ビルから郊外モールまで昭和、平成の時代に作られたコンセプトのまま営業を続けていないだろうか、そんな課題感を下に今回は今後、望まれるSC像を考えてみたい。

fstop123/sitock
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日本のSCの7割は2万㎡未満

 今、日本には3000を超えるSCが点在する。この数が多いか少ないかの議論はまた別の機会にするとして、この3000SCの類型は①面積・機能別、②テナント構成別、③形態別、④立地別などいくつかの分類方法があるが、最もポピュラーなのは面積規模・商圏規模を前提に分ける方法である(図表1)

 では、この分類でどの形態のSCが日本において最も多いのか。それは図表2に示す通り、全SC3133カ所のうち、2万㎡未満のSC2278カ所、73%を占める。日本に存在するSCのほとんどが2万㎡未満なのである。どうしても大規模SCが話題となるため、大型SCが多い印象を受けるが実はそうでもないことがわかる。

従来のSCの機能とは何だったか?

 SCの提供価値は販売機能が主であり、そこに付随するかたちで飲食、サービス機能が加わった。これに伴い地域住民の就労場所の提供となり、さらには人流の増加によって地域経済の発展に寄与してきたという背景がある。

 しかし、ECSNSの時代にあっては、物販機能は代替され、旅行などの予約もネットで完結し、SNSによるコミュニケーションが一般的になった。そのためSCに対する消費者の購買機能への期待は薄れ、それ以外のニーズの高まりにSCは直面している。

 現在、好調と言われる施設は、一定規模以上のテナント数によって広く消費者ニーズをカバーしているか、非日常空間を醸成しているか、品質の高いデイリーニーズを提供しているか、この3つである。

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記事執筆者

西山 貴仁 / 株式会社SC&パートナーズ 代表取締役

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。201511月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。岡山理科大学非常勤講師、小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒

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