めざすはデジタル発の製菓メーカー! おやつサブスクのスナックミーのユニークすぎる事業戦略
リアル店舗を出店! その狙いは?
さらに、スナックミーは2021年8月に「銀座ロフト」(東京都中央区)で初の常設店頭販売を開始し、2022年4月には初の常設リアル店舗「snaq.me 清澄白河」(東京都江東区)をオープンしている。
オンラインを中心に事業展開してきた同社がリアル店舗を出店する目的は2つあるという。1つが、店舗でイベントを開催することでユーザーと直接コミュニケーションをとること。もう1つが、「スナックミーの存在は知っているものの、サブスクの登録にはハードルがある」という消費者に、気軽に商品を試してもらうことだ。実際に「snap.me清澄白河」では、地域の住民がリピーターとなっているそうで、「サブスクやECにはない、新たな価値を提供できたという手応えを感じています」(服部氏)という。
服部氏は続ける。「僕も週に2回は必ず店舗に立ち、どのようなお客さまが実際に当社の商品を購入するかを見るようにしています。そこで得られた気づきが事業に生きることも多く、現場に立ってお客さまと接し、リアルな反応を見るというのはとても重要だと考えています」
社長自らユーザー宅を訪問する理由
直営店での接客だけでなく、「snaq.me」会員への電話インタビューも服部氏自ら行うことも多く、実際にユーザーの自宅に訪問することもあるという。社長自らこうした取り組みを行う理由について、服部氏は「良くないのは、アンケートの結果やマイページの情報を見ただけで、お客さまのことを知った気になってしまうこと。実際に話すことで、『当社のお客さまはこのような方なのだ』ということがリアルにわかります」と述べる。
「たとえば、子育て中の女性ユーザーのご自宅に伺い、当社の商品をどう利用しているか聞いたところ、『ふだんは子供に見つからない場所におやつを隠していて、子供が寝た後に食べている』ということがわかりました。ヒアリング前は『お子さまと一緒に食べているのだろう』と想定していましたが、実際はそうではなかったのです。また、許可をもらってそのお客さまに冷蔵庫の中を見せてもらうと、こだわりの調味料を多く使用しているなど、食そのものに高い関心をもっていることも判明しました。このように、お客さまと会話をすると、LINEや電話などではわからないリアルな利用シーンが浮かび上がってきます」(服部氏)
スナックミーでは、そうしたリアルなお客の利用シーンを社内で共有し、商品開発や商品提案に役立てているという。