売上高はコロナ禍以前の水準に! ドトールコーヒーがV字回復を果たした秘策とは?
リーディングカンパニーならではの先を見すえた経営姿勢
コロナ禍の苦境の中での思い切った設備投資と高付加価値化への取り組み、さらにFCへの支援によって売上をコロナ前に回復させたドトール。しかし「まだ回復の途上。決して好調とは思っていない」と気を引き締める。
確かに利益ベースで見ると、2023年2月期の同社の営業利益は10.9億円(営業利益率1.4%)。20年2月期の48.5億円(同6.1%)に対してまだ開きがある。客数アップに伴うさらなる売上高の増加やコスト削減などの投資効果が表れるのはこれからだろう。
「コロナ禍での一連の施策や投資は、回復に向けた基礎固め。ようやくお客さまを迎え入れる一連の体制が整った」と語るように、ドトールが目下力を入れているのは客数を回復させるための施策だ。キャッシュレスの推進、レジのセミセルフ化、モバイルオーダーなど、顧客の利便性向上のための投資を強化している。セミセルフレジの導入は、スタッフの負担軽減やオペレーションの改善を狙った効率化の一環でもある。
1980年、東京・原宿に第1号店を開業して以来、日本のコーヒーチェーンの元祖としてイノベーションを起こしてきたドトール。コロナ禍で講じてきたメニュー開発や設備投資、FC加盟企業への支援といった一連の施策には、目先の売上や利益にとらわれず、中長期の先を見すえたリーディングカンパニーならではの経営姿勢がうかがい知れる。