売上高はコロナ禍以前の水準に! ドトールコーヒーがV字回復を果たした秘策とは?
FC店舗を一時的に直営化し、加盟企業の苦境を支える
もう一つ、コロナ禍の中でドトールが取り組んできたのは、店舗の改装をはじめとする積極的な設備投資だ。
「こういう時期だからこそ、お客さまを迎え入れる体制を整えたい」と、店舗の改装・営繕を積極的に断行。さらに、物流センターを自社で構築し内製化を図ったり、節水器を導入するなど、中長期的なコスト削減を見すえた大幅投資を行った。
さらに、同社が注力したのは、パートナーであるFC加盟企業に対する支援だ。
ドトール店舗のフランチャイズチェーン(FC)比率は約8割。その加盟企業の中にはホテル業などを本業とする企業も多く、コロナの影響を直に受け、ドトール店舗運営まで手が回らなくなってしまっていた。その加盟企業の苦境を支えるため、ドトールでは一時的にFC店舗運営を買い戻し、直営に切り替える措置を実施。その直営店化した店舗数は35店舗に上る。
他にも、FC店舗に対してはシステム利用料やリース提供の割引や、ロイヤリティの一部をカットするなどの経済支援を行った。未曽有の苦境の中でできる限りの支援を行ったことで、撤退による店舗数の縮小を最小限に食い止めた。
ドトールの店舗数の推移に目を向けると、コロナ前の2020年2月時点では1100店で、うちFCが912店舗。直近の23年2月では1068店、同830店。FC店舗の減少幅がやや大きいように見えるのは、直営店への切り替えが含まれているためだ。
「FC比率の高い当社では、FC各店舗が堅実な経営をして利益を出すことが、そのまま会社の利益に直結する。FC加盟企業とは長期的にウィンウィンの関係を構築することを大事にしている」と、直営化した店舗は収益改善を図ったうえで、改めてフランチャイズ化していく予定だという。