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東京23区内で怒涛の出店 オーケーの都市型MDの進化が止まらない!

近年東京23区への出店を強化し、成長を加速させているオーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)。同社の出店の影響により頭を抱えている企業は少なくない。標準化された店づくりを特徴とするオーケーだが、ここ最近の都心部への進出にともない、都市型店ならではの商品政策(MD)も見られるようになっている。11月27日、東京都墨田区にオープンした「オーケー住吉店」(以下、住吉店)の売場づくりから同社の最新のMDをレポートする。

11月27日、オーケーが東京都墨田区にオープンした最新店「住吉店」

 オーケーの最新店である「住吉店」は、JR西日本不動産開発(大阪府)が開発した地上5階建て商業施設「VIERRA江東橋」の1階部分にテナントとして入居している。売場面積は約350坪で、オーケーにとって中規模サイズの店舗だ。
 店づくりについて二宮涼太郎社長は「売場は基本的に標準化しており、商業施設内に入る店であっても単独店と比較して店づくりやMDを大きく変えることはしない」と話す。その方針のとおり住吉店は基本的なオーケーの店づくりを踏襲した店となっている。

「住吉店」は基本的なオーケーの店づくりを踏襲した店だが、売場を見ると都市型店で強化している最新のMDが導入されていた

具材や味付けを選べる!
オーケーならではのミールキットの提案

調布店からの新コーナー「選べるミールキット」

 そんな住吉店の売場を見ていくと、これまでのオーケーにはなかった都市型店ならでは売場づくりが実践されていた。その代表例が簡便商品の提案だ。青果部門と鮮魚部門で、今年9月26日に開業した「調布店」(東京都調布市)からの新しいコーナーや商品を、同社最大規模で導入している。
 具体的には、青果部門では調布店からの新コーナー「選べるミールキット」を設置。カット野菜約10SKU(96円~251円:税抜・会員現金払い価格、以下同)とともに、ミールキット専用に開発した、調味液3SKU(各57円)と加熱調理済の冷凍肉4SKU(牛・豚バラ・豚肩ロース・鶏肉 各193円)を揃えて、それらを組み合わせて購入することで「豚バラ白菜の甘辛炒め」「黒酢香る酢豚」などさまざまなメニューをつくれるようにしている。バラで販売しているため、お客は必要な材料のみを購入することができる。

カット野菜と、ミールキット専用に開発した調味液と冷凍肉を組み合わせて、さまざまなメニューをつくれるようにしている
冷凍肉は、牛、豚バラ、豚肩ロース、鶏肉の4SKUを揃える。すでに加熱調理済のため短時間で料理が完成する

注目は皿状の容器!
鮮魚部門の簡便商品

 一方の鮮魚部門では、冷凍の簡便商品を約15品目揃える「フライパン・レンジで簡単調理」コーナーを展開。なかでも調布店からの新商品「海鮮おかず」シリーズは、取引先メーカーと連携し、皿状の容器を採用してレンジアップ後食卓にそのまま並べられるように形態にこだわり開発した。「さばとゴロゴロ野菜の昆布ポン酢」(291円)や「海鮮ハンバーグのオリーブガーリックオイル蒸し」(388円)など6SKUを揃える。
 これらの簡便商品は調布店では品切れになってしまう品目もあるほど支持されているという。生鮮本部長の佐藤幹司氏は「とくに都市部の店舗で販売に力を注いでいく方針。現在、精肉部門の商品も開発を進めている」と説明している。

鮮魚部門では、冷凍の簡便商品を約15品目揃える「フライパン・レンジで簡単調理」コーナーを展開する
皿状の容器にこだわった調布店からの新商品「海鮮おかず」シリーズ。レンジアップ後食卓にそのまま並べられる

主通路沿いでフランス
直輸入のマカロンを提案

 そのほか、立地を問わず最近オーケーが販売に力を注いでいるのが、独自商品と冷凍食品だ。
 独自商品では、食品メーカーと連携した商品や、オーケー直輸入の商品を、売場の目立つ場所で訴求している。住吉店では開店日、ニチレイフーズ(東京都)と共同開発した630gの大容量チャーハン(281円)やフランス直輸入のマカロン(6種×2個入1166円)を主通路上で試食販売していた。
 前者は、ナショナルブランドと同品質のチャーハンをオーケーならではの低価格とボリュームで、後者は百貨店で扱うような高品質のスイーツを直輸入することで低価格で提供している。今後もこうした独自商品の開発を進めて他社との差別化につなげる考えだ。

ニチレイフーズ(東京都)と共同開発した630gの大容量チャーハン
フランス直輸入のマカロン(6種×2個入1166円)

製法にこだわる商品を
冷凍食品で販売する

 冷凍食品では、生鮮素材のほか、こだわり商品も積極的に導入している。グロサリー本部長の本田淳氏は「冷凍食品は伸長カテゴリーであり、賞味期限が長いため販売側にとってもロスを低減できるというメリットがある。そうした利点をいかし、製法にこだわるパンや和洋菓子などの冷凍商品を積極的に増やしていきたい」と述べている。

冷凍食品のパンコーナー。フランスパンやイタリアでは定番のパン「チャバタ」も揃える
冷凍食品の和菓子売場。今後さらに商品数を増やして売場の訴求力を高めていく考えだ

都市型店の運営ノウハウを構築
年間10店ペースで新規出店

 このように競争激しい東京23区内で積極出店を続けるなか、簡便商品や品質にこだわりながらも低価格を訴求する商品を拡充し、MDを進化させているオーケー。二宮社長は「人口が密集する都市部であれば、300坪ほどあれば十分な売上を出せる店づくりが可能。東京23区内へ出店を進めるなか、小型店でも大型店並みの利益効率で運営できるノウハウも蓄積されつつある」と語っている。
 20年3月期は物流センターの稼働などもあり新規出店数は6店にとどまる予定だが、21年3月期は東京23区内を含めて再び10店以上の出店をしていく考えだ。競合各社は同社の店づくりがこれまでと変わりつつあることも念頭に置き対策を講じる必要があるだろう。

【オーケー住吉店 概要】
所在地  東京都墨田区江東橋5-5-3  ビエラ江東橋1階
電話番号 03-5669-0084
開店日  2019年11月27日
営業時間 8:30~21:30
売場面積 347.57坪
年商目標 非公表