世界最大の調査会社 日本トップが教える「お客がスーパーに求めるもの 関東と関西の違い」
膨大なデータを持つが活用できていない日本
──卸の介在のほかに、製・販の協業のネックはありますか。
バーウェイ 1つは、リテーラーとサプライヤーの信頼関係が、不十分ということもいえるでしょう。たとえば、日本では、顧客の購買データを小売側が公開するときに制限や条件を設けたりしますし、メーカー側もその購買データを商取引の交渉に使いたがりますが、それでは協業が進展しません。表面的な利害を越えて、すべての情報を製・販で共有してこそ、実のある商品政策(MD)や商品開発につながり、真のビジネスパートナーとなれるのです。もっとも、欧米でも、製・販の信頼関係の構築には時間がかかりました。協業を進めたいのであれば、できるだけ早く信頼関係を深めることです。それから、もう1つのネックとして、情報の活用が不十分ということも挙げられるでしょう。
──それは、どういうことでしょうか。
バーウェイ 実は、日本の小売業は、ID-POSが普及したりしているため、質・量ともに充実した情報を集積・保有しているんですね。ところが、データがあまりにも膨大なうえ、データをMDに生かす人材も不足しているため、有効活用できていません。残念ながら、いわば「宝の持ち腐れ」の状態になっているのです。
お客がSMに求める基準 関東と関西の違いは?
──それは、惜しいですね。情報を有効活用するには、どうしたらいいのでしょうか?そういえば貴社は、小売業の情報活用を支援するサービスも提供しています。
バーウェイ ええ。当社は、小売業界との長年のパートナーシップを通じて、リテール情報を有効活用するためのサービス事業をスタートしました。それが「ビジネス・イフェクティブネス・ソリューション(BES)」です。柱は2つあって、1つがデータを使いこなす人材の育成、もう1つが情報プラットフォームの構築です。
──データを使いこなす人材の育成とは、どのようなサービスなのですか。
バーウェイ 2018年から、カテゴリーマネジメント向けのセミナーを開催しています。集めたデータをどのように分析し、活用すればいいのかが理解できます。研修内容によって、4時間コースや8時間コースがあります。そのほか、アウトソーシングによるデータ分析、情報活用のコンサルティングといったメニューもあります。
──情報プラットフォームとは、どのようなものですか。
バーウェイ 小売業にとって重要なのは、情報分析による正しいインサイト(着眼点)を、適切なタイミングで、適切なスタッフが活用すること。BESは、そうした小売業の目的に合わせた情報プラットフォームです。
──BESのセールスポイントは、何でしょうか。
バーウェイ 1つめはデータの裏も読めること。たとえば、顧客がSMを選ぶ基準は、東京では「ポイントサービス・品揃え・バリューフォーマネー」ですが、関西では「商品の選びやすさ・売場の快適さ・価格や販促」です。そうしたことは、データをいくら集めてもわかりません。2つめは使い勝手がいいこと。ほかのBIツールの多くは、限られたスタッフしかアクセスできないのですが、BESはデータを必要とするスタッフなら誰でも、モバイルを使って、ワンタッチで利用できます。3つめはスピード。トレンドの変化が速い小売業では、クイックレスポンスも求められます。BESは、1週間以内にインサイトを提供できます。
BESの利用料金はリーズナブルに設定しています。情報活用に、ぜひ役立てていただきたいですね。