成城石井に学ぶ! 食品ロスを減らすウマい商品提案
不揃い商品を
消費者向けに販売
今回とくに注目したいのは、「BARGAIN」と「LIMITED」の取り組みだ。
「BARGAIN」では、セントラルキッチンで商品の製造過程で生じてしまう不揃い商品を低価格で販売している。
具体的には、焼成の工程でカラメルが浮いてしまったり、表面に皺ができてしまったりした焼きプリン「不揃い焼きプリン」(1個170円)や、いびつな形状やスモークの色がムラになってしまったウインナーを1kgの詰め合わせにした「不揃いポークウィンナー」(1袋1490円)、形がいびつだったりや焼きムラのあるパンを約10個のセットにした「不揃いパンセット」(300円)などがある。いずれの商品も、見た目に少しバラつきがあるだけで品質は変わらない。「ポークウインナー」は通常180g/税込431円で販売しており、見た目さえ気にしなければ消費者にとって非常に買得な商品と言える。
成城石井ではこれまで、これらの不揃い品は社内の従業員向けに販売していたが、「長年、御世話になっている地元・町田市の皆さまに何か恩返しがしたい」という想いから今回初めて一般消費者向けに商品化したという。
余剰素材を生かし
敏腕シェフが商品開発
「LIMITED」については、数量限定で製造にこだわった商品を販売する。なかでも「パン職人のこだわり湯種食パンラスク」(税抜299円)は、前述の「パン職人のこだわり湯種食パン」のパンの耳を使用し製造した商品だ。これまで余ってしまっていた素材に成城石井が着目し、同社のヒット商品である「プレミアムチーズケーキ」を手掛けた敏腕シェフが、隠し味に「三河みりん」を効かせるなど工夫を重ねて商品化。これまで余っていた素材にもかかわらず、チープ感を感じさせない、新たな商品として生まれ変わらせている。
近年、食品ロス削減への関心が高まっている。そうしたなか成城石井が秀逸なのは、食品のロスを削減しつつ、商品の訴求方法を工夫して「プレミアム感」や「お得感」を演出し、巧みに消費者の購買意欲を刺激している点だ。
成城石井ではこれらの施策は、南町田グランベリーパーク店のみで行い、その他の既存店に導入していく予定はないという。しかし食品ロス削減が社会全体の課題となるなか有効な施策として、ほかの食品スーパー各社が成城石井から学べることは多い。