「タピオカカフェ」に、都市型小型店開発…イオン九州が本業以外にも注力する理由
都市型小型店にもチャレンジ!
イオン九州はもう1つ、対外的には公表していない新規事業をスタートさせている。ダイヤモンド・チェーンストアオンラインではすでにレポートしている都市型小型フォーマットの「ニコキッチン」である。今年5月に福岡市中心部に1号店をオープンしているが、公式なリリース等は一切出していない。
参考:イオン九州が密かに実験する小型新業態「ニコキッチン」の全容
同フォーマットについて簡単に説明すると、コンビニよりやや大きい店舗サイズで、直営の食品売場(加工食品や冷凍食品、飲料などが中心)と、阪急ベーカリーが運営するインストアベーカリー、クックチャムが運営する総菜売場をミックスしたフォーマットだ。「第二のキッチン」を標榜し、料理に時間をかけられない有職女性や子供を持つ主婦をメーンターゲットとしている。
柴田社長はこのニコキッチンについて、「(今の状態は)完成形でも何でもないと思っている。(実験を重ねながら)新たな都市型の店舗モデルをつくっていきたい」と話した。すでに3号店までは取締役会で承認が下りており、「3号店まではつくってみて、(本格展開するか)答えを出したい」(柴田社長)
イオン九州がニコキッチンのような小型店を出す理由は、これまで主力事業としてきた大型店の出店が容易ではなくなりつつあるという事情がある。柴田社長は、福岡県内にオープン予定の他社の大型ショッピングモールで、当初入居予定だったテナントが出店を取りやめたという事例に触れながら、「人口が減少するなかで、大型店をさらにつくっていくのは難しいものがある」と指摘した。そうしたなかで、都市型小型店に新たな成長余地を求めているというわけである。
新たな成長機会につなげられるか
イオン九州の19年度第2四半期の業績は、営業収益が対前年同期比1.2%減の1102億円、営業利益は4月の予想値を上回ったものの、3億円の赤字を計上。四半期純利益も4億円の最終赤字となるなど経営環境は厳しい。
こうした状況下で、既存のビジネスモデルを維持したままでは、さらなる成長は見込めないという危機感がイオン九州にはあるのだろう。成長機会を創出するために、FC事業への参入や、都市型小型店の開発といった新たな事業へのチャレンジに動いたというわけである。
「(FC事業も都市型小型店も)今までやったことのないことだが、これからはそういった新しい領域にも踏み込んでいかないといけない。『餅は餅屋』という考え方もあるが、(餅屋から)ノウハウをもらってやってみるということも必要になってくる」と柴田社長。イオン九州の新たなチャレンジは実を結ぶか、今後の動向が注目される。