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落日のGMS終章 分社化にGMSの活路はあるか

総合スーパー(GMS)は今後、どんな姿に変わっていくのだろうか。今のところ、大手GMS各社は商品分野ごと、あるいは地域単位での分社化に動いており、新しいGMSの運営形態を模索している。果たしてGMSの“決定版”をみつけられる企業はどこか――。

イオンは衣料品や住居余暇について、商販一体の専門会社をそれぞれつくり、専門店化を推進していく

「あれもこれもマネージしていくのはハンデ」

 「衣料品や住居余暇については、商販一体型の専門会社を設立する準備をしていきたい」
 イオン(千葉県)の岡田元也社長は、主力事業であるイオンリテール(千葉県/井出武美社長)の改革について、そのように説明する。
 これまでもイオンは、自転車専門店の「イオンバイク」、靴専門店の「ジーフット」、ペット用品の専門店「イオンペット」などをそれぞれ分社化し、イオンリテールが運営するGMS内に出店してきた。
 今後はこの戦略をより力強く推し進めていく考えで、2020年以降、20程度の商品分野の機能を分社化する。岡田社長は「一つの屋根(GMS)の中で、あれもこれもマネージしていくのはハンデがある」と指摘。イオンリテールからスピンアウトした「専門店集団」がGMS非食品売場の一角を形成するかたちに改める。
 分社化した専門店企業は、収益管理から出店や退店の判断、商品開発までの責任を持つ。岡田社長がかねてより志向してきた、商品分野ごとの「製造小売業(SPA)化」に向けて動き出したことになる。

商品分野ごとの分社化に活路はあるか

 イオンと同様に、商品部門を切り分けて分社化する方針を打ち出したのはイズミヤ(大阪府/四條晴也社長)である。親会社であるエイチ・ツー・オーリテイング(大阪府/鈴木篤社長)は、2020年度にイズミヤを食品部門・非食品部門・プロパティマネジメント部門に分割し、GMS事業モデルを転換する方針を発表している。
 非食品部門の中でも購買頻度の高い日用品は、ドラッグストア大手のココカラファイン(神奈川県/塚本厚志社長)と合弁会社を立ち上げる。分割した事業会社の1つが運営する商業施設に、合弁会社がテナント出店する格好だ。中国・九州地盤のGMS企業であるイズミ(広島県/山西泰明社長)に近いモデルになるとみられている。
 イオンとイズミヤの2社に共通するのは、総合を“再定義”しようとしている点だ。イオンは各商品分野の専門店を自前で育成し、「GMSを分けるという考え方」(岡田社長)を進める。イズミヤも自社でデベロッパー部門を持ち、非食品売場には地域に合ったテナントを導入する。
 確かに、現在のように有力専門店が数多あり、垣根を超えた競争が激しくなるなかで、は、非食品カテゴリーすべてを本部でコントロールするのは非効率であり、競争力の確保も難しい。

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GMSはドミナントに回帰する?

GMSは「ドミナント回帰」に向かうか?

 ただその一方で、6月27日に公開されたダイヤモンドオンラインの記事によれば、「イトーヨーカ堂(東京都/三枝富博社長)は地方にある店舗を分社化させ、それら地域会社と各地域の有力スーパーを資本提携させる計画が進んでいる」という。首都圏のドミナント(地域集中出店)体制を強化すべく、地方店の整理・見直しを進めるというわけだ。
 GMS各社はかつて、出店競争のなかで全国へと店舗網を広げた。しかし、現在ではショッピングモールを全国展開するイオン以外の企業は、ドミナントへの回帰を進めているようにもみえる。一旦身を縮め、ドミナントの守りを固めた方が効率的という考え方だろうか。
 しかし、「今流のGMS」(食品スーパー首脳)と言われるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都/大原孝治社長)傘下のドン・キホーテ(同)は、逆に店舗網を全国に広げている。大原孝治社長は「(ドン・キホーテは)まだまだ出店余地がある」と話しており、出店意欲は未だ旺盛だ。
 大手GMSの改革はまだ模索状態だが、衣食住を扱うドンキの例をあげるまでもなく、消費者にとって“総合の品揃え”はまだ終わっていないのは確かだろう。本当の改革は、地域や器だけではなく、改めて消費者が求める商品や価格、売り方とは何かを突き詰めていくことにあるのではないだろうか。