落日のGMS終章 分社化にGMSの活路はあるか

森田 俊一
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GMSは「ドミナント回帰」に向かうか?

 ただその一方で、6月27日に公開されたダイヤモンドオンラインの記事によれば、「イトーヨーカ堂(東京都/三枝富博社長)は地方にある店舗を分社化させ、それら地域会社と各地域の有力スーパーを資本提携させる計画が進んでいる」という。首都圏のドミナント(地域集中出店)体制を強化すべく、地方店の整理・見直しを進めるというわけだ。
 GMS各社はかつて、出店競争のなかで全国へと店舗網を広げた。しかし、現在ではショッピングモールを全国展開するイオン以外の企業は、ドミナントへの回帰を進めているようにもみえる。一旦身を縮め、ドミナントの守りを固めた方が効率的という考え方だろうか。
 しかし、「今流のGMS」(食品スーパー首脳)と言われるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都/大原孝治社長)傘下のドン・キホーテ(同)は、逆に店舗網を全国に広げている。大原孝治社長は「(ドン・キホーテは)まだまだ出店余地がある」と話しており、出店意欲は未だ旺盛だ。
 大手GMSの改革はまだ模索状態だが、衣食住を扱うドンキの例をあげるまでもなく、消費者にとって“総合の品揃え”はまだ終わっていないのは確かだろう。本当の改革は、地域や器だけではなく、改めて消費者が求める商品や価格、売り方とは何かを突き詰めていくことにあるのではないだろうか。

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