出版市場は堅調も書店の店舗数減少には歯止めかからず……リアル書店の生き残り策は?
複合型店舗の開発は書店の活路になるか
書店生き残り策として有力な選択肢の1つが、「複合書店」と呼ばれる新業態の開発だ。「複合」の歴史は古く、書店では以前から本と親和性の高い文房具を取り扱ってきた。ただ、文房具はおおむね単価が安く利幅が薄いうえに、書籍・雑誌と違って小売店買取を基本としており、書店にとってはうまみの少ないビジネスといえる。
CDやDVDのレンタルもユーザー層が近いことから、かつては本屋と併設するケースが多くみられたものの、音楽業界もネット配信に追われ、レンタル店そのものの廃業が相次いでいる状態だ。
そうした中、大手書店を中心に成長性が見込まれかつ一定水準以上「稼げる」商材・サービス探求に向けた取り組みが進んでいる。
最近多く見かけるようになったのが、カフェを併設した複合店舗だ。「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(東京都:以下、CCC)は、「スターバックス」と提携して「Book&Cafe」を展開する。
また、行政との連携も有力な選択肢だが、実現のハードルは高い。CCCによる「ツタヤ図書館」の取り組みも、開館時間延長や貸本の宅配などで利便性を高めた結果、多くの利用者を集めたものの、民間業者による運営には購入書籍選択などに課題を残し、関係者による反対の声も根強い。
ネットにはないリアル書店の魅力
世はネット時代、消費行動の多くがオンラインにシフトしている中で電子書籍や本のオンライン購入も当たり前になった。それでも、書店にはネットでは味わえない魅力がある。
新刊コーナーに山積みされた話題の書籍から自分好みの本を探す楽しさは、ネットでは代替できない。マニア向けの専門雑誌や専門書との出会いも書店に行く醍醐味の1つだ。地方では、書店は地域の住民が集うコミュニティースペースの役割を果たしている。
出版文化を支え、次代に継承していくためにも書店には経営努力を重ね生き残りを模索してほしいところだ。