「良品廉価」「戦いを楽しむ集団づくり」を実践、売る力を育成する=ウオロク 葛見久則 社長
しかし、当社は、売上を伸ばしたいと考えています。母数である売上の絶対額を伸ばすことによって、相対的に低い経費率を実現して利益を確保するという、これまで当社が行ってきたやり方を継続して行きたい。とはいえ、売上が伸びにくい環境にあるのは事実ですので、利益をしっかりとる商品の拡充についても、併せて取り組んでいきます。
──価格で戦わない商品とは、どのような商品ですか?
葛見 生鮮食品で言えば、素材をそのままで売るのではなく、手をかけて売るということです。鮮魚であれば、切り身やお造りにするなど、付加価値をプラスすることが基本です。
もう1つお客さまが価格以外で選ぶ要素としては、新しい商品や味、食べ方というものがあります。そういった売場提案や関連商品の販売をどれだけ積極的に行って、お客さまに買ってもらえるかが重要です。これをやることで、粗利益額の減少幅を最小限に食い止めたいと考えています。
“売る力”を育成する教育体制・組織体制をスタート
──さて、新社長・新体制でウオロクがめざすべき姿は見えてきましたか?
葛見 今社員には、企業としても、店舗としても「地域の皆さまの生活を私たちが支えているという、強い使命感を持って仕事をしていこう」と話しています。それくらいの高い意識を持って、お客さまのためによい商品、よい売場を提供していける企業になりたいと考えています。これが、すべてのベースとなります。
そのうえで、前社長が遺してくれた2つのテーマを守り抜いていきます。
一つめは、“良品廉価”です。これは、文字どおりよいものを安く提供するという意味で、小売業であればどこの企業でも言葉としては同じことを唱えているかもしれません。しかし、この“良品廉価”をどこまで深く追求できるか否かという次元で、勝ち負けが決まると思っています。
2つめのテーマが、“戦いを楽しむ集団づくり”です。経済環境が今のような状況になる10年も以前から、新潟県内の人口は減っており、高齢化が進み、食べる量そのものが減ってきています。一方で競合店は増えています。マーケットが縮んでいる中で、競争が増えているのですから、何もしなければ売上は漸減傾向に陥ってしまいます。どうすればよいかといえば、単純な話ですが、「自社以外の市場を奪い取るしかない」のです。どうせ戦うのならば、その戦いを楽しもう、ということでこのテーマを掲げたのです。以来当社では、日々競争相手を明確にしながら、その相手にどうやって勝つかを考えて実行することに力を注いでいます。