大手が巨大化すればCGCも規模を拡大しなければならない宿命=CGCグループ 堀内淳弘 代表

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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──加盟企業さんの意識の変化を促した要因とは、具体的にはどのようなことだったのですか?

堀内 1つの例でいくと、CGCに加盟するA社とその競合B社が切磋琢磨し合っていたあるエリアでは2社で70%の売上シェアを持ち、競合他社の新規参入を許さ ない強固な地盤を確保していました。しかし、両社が非常にシビアな競争を繰り広げた結果、B社が経営に行き詰まり、大手SMに買収されてしまったのです。 その後、B社の店舗は大手SMとして生まれ変わり、さらに別の大手系SMも新規参入を果たすなど、エリアの競争環境が激化しました。A社にとっては、そん なことになるぐらいなら、B社と仲良く一緒にやっていたほうがよかったと言うわけです。そういう事例がたくさん出てきました。その意味では、加盟企業の数 はさらに増えていくものと見ています。

変わらないCGCの柱 商品こそすべて!

──先ほど、加盟企業の要望する内容が、大きく変わってきたとおっしゃっていました。一方で、CGCといえば“商品こそすべて”という考え方で事業を行っています。商品活動については今後どのように進めていきますか?

堀内 創業以来、“商品こそすべて”を協業活動の柱にしています。初期のころの開発委員はすべて加盟企業の社長が担っていましたから、商品にたいへんこだわる方々が多数、CGCに加入されたという背景があります。

 ですから社内(株式会社シジシージャパン:東京都/森田隆夫社長)には今も、“商品こそすべて”というDNAが脈々と受け継がれています。

 ただ、これまでは“安いか”“美味いか”ということだけが判断のより所でしたが、時代の変化に伴って、現在は「安心・安全」の確保に最重点を置い た商品開発態勢に移行しています。これを実現するためには、1つの商品を開発するのにも、工場の点検から商品の履歴管理まで膨大な手間と時間がかかるよう になります。CGCと同じレベルで商品開発を行うことができる大手チェーン企業は国内には、イオンさんとセブン&アイさんしかありません。ですから、新し い商品開発態勢に移行したここ4~5年で、商品の品質は格段に向上したと思います。

──シジシージャパンの商品開発スタッフが商品の製造工場に立ち入って、品質の確認を行っているわけですか?

堀内 はい、それが仕事ですから。社員は海外出張がものすごく多く、加盟企業の代表バイヤーさんらと共に毎週10~20人単位で海外に出張しています。08年度は中国だけで100日強ぐらい、社員が行っている計算になります。

 基本的に、商品をつくるということは、ものすごく難しいことです。つくったら、自分で責任を負わなくてはならない。CGCは一部商社さんにお願い している商品もありますが、ほとんどの商品は自分たちでつくっています。メーカーさんに商品を提案させて、メーカーさんの名前を明らかにして、責任もメー カーさんに押し付けるやり方はプライベートブランド(PB)商品とは言いません。PB商品は自己責任のうえで開発しなければなりません。

──これだけ長い期間、商品開発に注力して活動を行ってきているわけですから、社内には商品開発に関して専門性の高い人材が豊富にいるということですね。

堀内 はい。世界に通用する商品開発者の資格である、SQFプラクティショナー(*1)の資格保有者が現在社内に70人ほどいます。ただ社内の商品開発スタッフが勉強するだけでは「安心・安全」な商品を開発することはできません。製造を委託するメーカーさんもそれなりに勉強していただかなければなりません。そこでCGCでは03年から、HACCP(*2)やISO(*3) など第三者認証をメーカーさんに取得するようにお願いしており、06年からはそうした第三者認証を取得しているメーカーさんとだけお取引をすることにして います。認証を取得したらそれでよいというわけではありません。たとえば、ちょっとした事故が起きたとします。改善が不可能な場合は、工場を替えるしかあ りません。CGC基準は国内でいちばん厳しい基準なのではないでしょうか。万全な開発態勢を確保するために、必要不可欠なことなのです。

*1:SQFはSafe Quality Foodの略で、プラクティショナーは実務家の意味。HACCPとISOを組み合わせた、食品の安全と品質の確保を目的とした国際認証システムである 「SQF2000」を導入・維持・従業員教育をするためには、SQFプラクティショナーの資格保有者が必要不可欠
*2:原料の入荷から製造・出荷までのすべての工程において、あらかじめ危害を予測し、その危害を防止するための重要管理点を特定し、そのポイントを継続的に管理する手法
*3:工業分野の国際的な標準規格を策定するための民間の非営利団体

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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