第58回 自らが決めた「定義」に縛られた百貨店とSCが生き残る方法
ダーウィンは言った。「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である」と。コロナ禍を経て我々は何を変えただろうか。この3年弱、嵐が過ぎ去るのをジッと身をかがめて待っていただけだろうか。今また、2019年までと同じことをやり始めていないだろうか。この同じことをやり続ける理由の一つ「定義」を今号のテーマにしたい。
定義が目的化する恐怖
「その定義は何か」会議でこの問いを聞く。確かに軸がぶれることなく道を踏み外すこと無くビジネスを考えるためには定義も必要だろう。しかし、定義ができたからといって、それがプラスに働くことは無いように思う。むしろ、定義を作った段階で、そのビジネスの成長は止まる。
なぜなら、定義が「自らを縛り」変化や変革を拒むからだ。改善すらも遠ざけ定義を踏襲することが目的化し市場や顧客から離れていく。そんな経験をした人も多いのではないだろうか。
百貨店の定義
2022年6月23日百貨店協会から就活生向け百貨店業界リクルート動画「百貨店という職業は、ない。」(https://www.depart.or.jp/workwith_us/)がリリースされた。そこには既存の枠を取り払いチャレンジしていく姿を観ることができる。それを観た私は「百貨店もまだまだ捨てたもんじゃないな」と感銘を受けた。その一方で「できるのかな」とも思った。
それは、百貨店が今でも、過去の成功モデルを踏襲し続けているようにも見えるからだ。特徴的なのはフロアプラン。地下から食料品、コスメ、服飾雑貨、ミス、ミッシー、ミセス、紳士、子供、家庭雑貨、レストラン、催事場と都心部から地方都市に至るまで全国どこに行っても大きく変わることはない。なぜ、マーケットも立地も異なるのにこうも同じになるのか不思議だが、聞くと「これが百貨店だ」と言う。
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