厨房機器リサイクル大手テンポスHDが「閉店サポート」まで面倒をみる理由

2022/08/11 05:59
    油浅 健一
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    ぐるなびとの業務提携で体制強化

     水物とも言われる飲食店経営だけに、ここまで手厚いサービス体制があれば、利用側も安心して身を委ねることができる。同社としては、厨房機器のリサイクル販売だけに止まらない、こうした支援のリターンとして新たな取引につなげることが狙いだ。

     現状では、人材育成も含め、同事業は苦戦しているが、5月にぐるなびと業務提携し、体制を強化。ぐるなびが持つ、飲食店の販売促進を中心とした経営支援の強みとのシナジーを図り、飲食店の開店~運営~閉店まで全てのプロセスにおいて、より一層付加価値の高いサービスを総合的に提供することを目指していく。

     具体的には、人材交流を通じた販売力向上・人材育成、各種サービスの営業連携、商品連携及び両社での新規サービス企画の推進等を予定。企業価値の向上、そして外食産業の持続的な発展へとつなげる。

    子会社のテンポスフードプレイスは、飲食店の開業から運営までをサポートする
    子会社のテンポスフードプレイスは、飲食店の開業から運営までをサポートする

    トータル支援強化で来期も増益見込み

     「総合病院」としてのさらなる体制強化で、経営基盤の一層の安定を図る同社は、2022年4月期の業績を、売上高338億8000万円(前期比16.2%増)、営業利益30億1500万円(同61.1%増)、経常利益32億2000万円(同10.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益19億1000万円(同21.8%増)を見込む。

     先行き不透明な経済情勢にあって、ただモノを売るだけではなかなか振り向いてもらえない昨今。売ったその先までもしっかり見据え、フォローするーー。そこまでしてようやく信頼してもらえる。成果が出れば、継続につながる。現場での肌感覚と業界トップの使命感ゆえの戦略であり、境地といえるだろう。

     飲食店の開店から閉店までをサポートする企業へと深化を遂げる同社。トータルサポート企業へ向けた業容の拡大は、リスクヘッジ的な要素が強い多角化とは一線を画しており、今後の成長企業の一つの王道となる可能性も十分にありそうだ。

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