厨房機器リサイクル大手テンポスHDが「閉店サポート」まで面倒をみる理由

2022/08/11 05:59
    油浅 健一
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    中古厨房機器販売店「テンポス」を全国に展開するテンポスホールディングス(以下、テンポスHD)が発表した2022年4月期通期決算は、売上高が290億800万円(前年同期比7.4%増)、営業利益18億7100万円(同90.6%増)、経常利益29億1900万円(同101.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益15億6400万円(同686.1%増)だった。通期の経常利益は過去最高となった。長引くコロナ禍で、主たる顧客層である飲食店の先行きがなお不透明ななか、中古業務用厨房機器の販売から、飲食店の経営サポートまでその守備範囲を広げた同社の成長戦略をまとめた。

    テンポス新宿店
    テンポス新宿店

    業務用厨房機器のリサイクルから急成長

     テンポスHDは、業務用厨房機器の新品商品販売、および中古品の再生販売を主軸とする。いわばBtoBのリサイクルが儲けのメインだ。

     創業は1997年。森下篤史社長が全国のリサイクルショップを視察し、儲かる商売と見極め、スタートした。2002年にはジャスダック上場を果たし、買収なども行いながら、規模と業容を拡大している。

     昨今は、厨房機器のリサイクル業から深化。経験と実践で積み重ねた知見を活用し、飲食店の経営サポートにも注力している。「飲食店の5年後の生存率を5割から9割にする」と掲げ、飲食業界の「医師」として、その経営面にまで踏み込み、業界での地位を揺るぎないものにしつつある。

    ソフト面の強化で揺るぎない企業へ

     目指すのは「外食産業にハードとソフトを提供できる揺るぎない企業となる」こと。すでに、自らを「1強100弱」と表すように、業界での存在感は圧倒的だ。とくに、ハード面、つまり厨房機器の扱いでは他の追随を許さない。

     新規オープン時に納品する、閉店後の厨房機器を買い取り、中古品として販売する。全国60店舗での膨大な数の取引によって、飲食店の栄枯盛衰を生で見てきた実績は、そのまま飲食店運営の生きたデータとして蓄積される。

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