厨房機器リサイクル大手テンポスHDが「閉店サポート」まで面倒をみる理由
現場で蓄積した生データが強みの源泉
ハードの納入だけにとどまらず、サポート視点と未来思考で、飲食店が生き残る分岐点を見極めてきたからこそ蓄積できた「ソフト面」の熟成も同社の強みの源泉だ。
加えて、飲食事業として、ステーキのあさくまを運営することで、運営側ならでは苦労や課題も把握。実践の中でトライアルアンドエラーを繰り返しながら、飲食店経営の極意を磨き上げている点も同社の強みとなっている。
飲食店経営の医者として安楽死の診断も
こうして現場から吸い上げた生きたデータから生まれた新たな事業が、同社が昨今注力する「Dr.テンポス」構想だ。その名の通り、同社が飲食店の診断医・主治医として、飲食店経営を総合的に支援する事業となる。
北欧の手厚い社会福祉の表現として「ゆりかごから墓場まで」といわれたものだが、同事業は、飲食店を開店から閉店までサポートする手厚いサービスで利用者をフォローする。
まず、売上や粗利、人件費等の推移を確認し、店舗状況を把握。その上で、状況に合わせた支援を行う。例えば集客支援として、クーポンサイトに無料掲載したり、ホームページを作成したり、SNSの運営代行をしたり…。
いわば問診となるこうしたプロセスを経て、さらに状況に応じ、「治療」を行う。さらなる売り上げが見込めるなら、店づくり・多店舗展開等をサポート。売り上げが芳しくなければ、集客や販促、教育でテコ入れする。そして、手遅れと診断すれば、閉店後の従業員、店舗、お金の支援を行い、「安楽死」させる。